2008/7/11 世界でも他に例を見ない、野菜スイーツ専門店のHidden Story

今日は・・・世界でも他に例を見ない、野菜スイーツ専門店のHidden Story。

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トマト、小松菜、ごぼう、たまねぎ。じゃがいも、にんじん、そして枝豆。そんな名前が並ぶのは、スーパーの野菜売り場ではありません。東京・中目黒にある「パティスリー・ポタジエ」のショーケースには一見、スイーツからは かけ離れた 野菜の名前がずらり。例えば、トマトはショートケーキに、ごぼうはガトーショコラに小松菜はロールケーキに使われています。

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今度、ゴーヤのケーキも出るんですけど今、ズッキーニやきゅうりのケーキが出てきていますが、、、旬がわかるショーケースにしたいと思っています。ポタジエというのは、フランス語で野菜畑を意味するんですがショーケースが野菜畑のようであってほしいので、その時期のものを使うというのを大事にしています。

野菜スイーツの専門店、、、おそらく 世界的に見てもマレな挑戦をしているのはパティシエの柿沢安耶さん。なぜ、スイーツに野菜を使うのか?この問いに対する答えは、柿沢さんが食の道に入ったころに感じたひとつの疑問の中にありました。

大学出てから、お菓子屋さんに入ったんですがわりと、加工品を加工するもので、生の食べ物を扱っているという感じがしなくて。自分で食べたいお菓子とは違うなと。で、ちょうど私が22、23歳のころにカフェブームがあってカフェにつとめはじめて、そこで勉強していくうちに体にいい料理って何だろう?と。そこで、ベジタリアンとかマクロビオテックというものに出会ったんですね。

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その土地でできたものを食べること。柿沢さんは そんな考え方に共鳴。昔から日本で食べられてきたもの、、、穀物を中心に、豆類、海草類、魚などを取り入れることで、体のバランスを保つ。そんな理念を胸にまずは栃木でレストランを開業されます。お店の名前は、オーガニックベジカフェ・イヌイ。。。「イヌイ」とは、フランス語で「未だかつてない」という意味の言葉。しかし、本当の「未だかつてない挑戦」=野菜スイーツ専門店 開店への道は このあと始まることになります。そして、そのきっかけは、意外な形で訪れるのですが、、、野菜スイーツ誕生秘話は、曲のあとで。

中目黒にある野菜スイーツ専門店「パティスリー・ポタジエ」のオーナーシェフ、柿沢安耶さん。彼女が、野菜スイーツを作るきっかけは、栃木で営んでいた「オーガニック・レストラン」のお客さんからのこんなリクエストにありました。

お客さまから、「彼女の誕生日にびっくりするようなケーキを作ってほしい」というリクエストがありまして。びっくりするって、どんなのかな、と。じゃあ、野菜かなと思いまして。で、たまたまそこに小松菜があったんです。小松菜をスポンジに入れてみたら?と。焼いてるあいだに色が変わっちゃうのかな、においが変になるかなと思ったんですが、意外にうまくいって。ショートケーキにして、そのときは上はイチゴだったんですが、切ったら小松菜!みたいなケーキを作って。それが好評で、喜んでいただいて。意外性とか、びっくりとか、驚きとか、、、野菜のケーキってそういうのができるのかなと思って。

誕生日に彼女を驚かせるために、と頼まれて作った「小松菜のケーキ」、、、柿沢さんが一般的にスイーツに使われていた かぼちゃやニンジン以外の野菜を初めて取り入れたのが、このケーキでした。これで手応えを感じた柿沢さんは、いよいよ野菜スイーツ専門店の開店へと歩み始めます。舞台は栃木から東京へ。

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美味しい野菜を料理にするのは当たり前ですけど、それをケーキにすることで そこに楽しさとか面白さとかが出てくるので、それを使って、美味しい野菜を広められたらと思うんです。入り口として入りやすいかなと、特に若い女性にとっては。オーガニックとか興味なくても、面白そうじゃないと感じてもらえたりで、お店でパンフレットを見て有機野菜って何だろう?と思ってもらえたり。そういう意味ではケーキっていい入り口だと思いますね。私もケーキ、好きなんで。。。

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2006年4月の「ポタジエ」開店以来、オーナーパティシエ 柿沢安耶さんの胸にあるのは「美味しい野菜の魅力を知ってもらいたい」という願いです。彼女が 今 最も気になっていることは、日本の食糧自給率の低さ。だから、柿沢さんは常に、「美味しい野菜を作る農家を応援したい、、、」そんな想いを抱きながら 営業を続けてらっしゃいます。 さて、、、最後に聞いてみたいのは、やはり、レシピづくりの秘密。

試作よりも、頭で考える時間のほうが長いんですね。何と何があうかなと。例えば、ごぼうショコラもごぼうとショコラがあうんじゃないかとか。で、ごぼうは煮るのか、焼くのか、とか。だからノートとかごちゃごちゃに書いてあるんですよ。もう3冊くらいになるんですけど、いつも持ち歩いて。色鉛筆で色をつけたりとか、、、

美味しい野菜の魅力を伝えるために、、、女性パティシエの挑戦は続きます。そして、、、どこかの野菜売り場で、ノートを出してスケッチをしている人がいたら、、、それは今日の物語の主人公、柿沢安耶さんかもしれません。