2008/10/17 「冷凍うどん」のHidden Story

今週は・・・今やポピュラーな存在となりました、「冷凍うどん」のHidden Story。

013t_08101703.jpg

冷凍うどん。その開発が始まったのは今から34年前。1974年の四国・香川。当時、海老フライやカキフライ、魚のフライ、コロッケなど冷凍食品を販売していた 株式会社 加ト吉。加ト吉は、より大きな市場を狙っていました。合い言葉は、「粉を制するものは、食品業界を制する」。そして、、、本社の所在地は、香川県。

013t_08101702.jpg

私どもの本社は、香川県の観音寺市にあります。香川は人口100万くらいの、小さな県です。ここで一番有名なものは、というと、讃岐うどんです。これを世の中に売っていくのに、ゆでた状態のものを売るのか、生のうどんを売るのか?これはいずれも不都合があって、、、ゆでたものはどんどん劣化します。生うどんはゆでるのに時間がかかります。ならば、我々が得意とする冷凍にした場合、どうだろうかと。

加ト吉の成行公雄さんは当時をこう振り返ります。まず最初にやったのは、社員が自分でうどんを練って、切って、ゆでて、それを凍らせること。しかし、この方法では うまくいかない問題が出てきました。温度や湿度の違いから、常に同じ品質のうどんを作ることができない。新しい機械、新しい製造ラインが必要とされました。

013t_08101704.jpg

一番難しいと思われるのが、ゆであげた状態、熱々の状態からマイナス18度まで落とさないといけない。それを短時間で低下させなければいけない。プラスマイナス0度とその前後で細胞が崩れるんですね。そこを短時間で通過させれば、冷凍食品として美味しいんです。コロッケならコロッケが持っている、うどんならうどんが持っている水分が凍ると、膨張しますよね。それが細胞を壊してしまうんです。水分を大きく膨張させないまま凍らせるといいんです。

小麦粉と水と塩を 冷凍に適した比率で配合し、練り上げてうどんにし、均一にゆでる、、、、それをスムーズに凍らせる。いたってシンプルな過程ではありますが、そこにはもうひとつ、重大なカギが隠されていたのです。美味しい冷凍うどんの秘密は、1曲お送りしたあとで。

1974年の開発スタートから2年後、、、市場に出ることになった加ト吉の冷凍うどん。これは、ゆでたうどんを冷凍させたものだったのですが、、そこには 香川県の会社ならではの技が生きていたのです。

通常うどんやさんだと職人さんの手によって、水と粉と塩を混ぜます。私どもは機械を使うのですが、減圧装置といって、通常の気圧より低くしたところで、そこで粉と塩水を混ぜています。小麦粉の粉の中にまで水を入れていくというやり方です。それが何がいいかというと、おいしいうどんというのは、断面でいうと、中心と外側で水分の入り方が違うので腰があるんです。スパゲッティのアルデンテと全く同じですね。これが時間がたっていくと、水分が均一になっていくので美味しくなくなる。なので、かまあげのままで水分バランスが違うままでスムーズに凍らせるんです。

パスタでいう「アルデンテ」の状態のうどんを作ること。開発チームが重視したのは、このポイントでした。そして、その水分バランスをキープしたまま凍らせてできたのが「冷凍うどん」。しかし、、、スタッフの自信をよそに、当初は消費者に受け入れられませんでした。

「冷凍のうどんなんて」、、、という言葉がまず返ってきました。それをご理解いただくのには、食べていただくしか方法がない。ということで、店頭で社員も試食販売をこころがけまして、冷凍のケースを車の後ろに積みまして、、、それで屋台を作りまして、木や段ボールで。とにかく毎日毎日、スーパーやマーケットでお客さんに食べていただきました。

当時、ご自身も試食販売をおこなわれたという成行公雄さんによると、ようやく広く知られるようになったのは、発売開始から20数年後、1990年代になってのこと。長い長い道のりを支えたのは、ひとつの確かな想いでした。

013t_08101701.jpg

とにかく、我々が香川の讃岐うどんを、冷凍食品としてお客様のところに届けることで、全国のうどん好きの方に、最良のうどんを届けたい。それが考え方の柱にありました。とにかくこの冷凍のうどんを届けたい。その信念だけです。

今や、毎日150万食が製造されるようになった「冷凍うどん」。全国の食卓で、香川の誇り、讃岐うどんが今日も 美味しそうな湯気を 立ちのぼらせています。

本日ご紹介した、「加ト吉」のギフトチケットを5名様にプレゼントします! 詳しくはこちらへ