今週は・・・これまで、ブラッド・ピット、ジェニファー・アニストン、ジャネット・ジャクソンからイギリスのエリザベス女王まで世界の著名人の帽子を手がけた経験を持つデザイナー、原田美砂さんの情熱物語。
帽子デザイナー、原田美砂さん。彼女が作る帽子のシルエットに、世界じゅうのガールズがうっとり。セレブリティからも大人気の トップ・デザイナーです。原田さんが暮らすのはイギリス、ロンドン。そこは 彼女が 帽子の魅力に出会った街。
87年にロンドン大学に留学して、アカデミックな勉強をしていたのですがもともと音楽好き、ファッション好きもあったので、、、ロンドンに来たからにはという想いがわきだし、ファッションの大学に転校し、ファッションの学校に転校するんです。そこで帽子にも出会ったんですけど。大学に行っていても夜とか遊びに行っちゃうじゃないですか、ギグとか。そこでロンドンのパンキッシュな人とか、アバンギャルドな人をみて、ここでやっとかなきゃという気持ちになったんですよね。
ロンドンに留学した当初は、「帽子を作るなんて思ってもみなかった」という原田美砂さん。アートスクールの授業で運命の出会いが待っていました。
最初に作ったのは、ターバンとか、とてつもないものだったと思うんですけど教えてくれた先生も素敵で、私が考えたのは、頭の上から火が出てるようなすごいデザインのものだったんですが、それをNGともいわず、オートクチュールの手法を取り入れて作ったらどうだ、というよなアドバイスをしてくれました。そのときにこれだ、と感じました。服には考えられない、、、本当にドレイプをしていったりとか、自分の手で作りながら表現していくというか、頭に布をのせて作っていく。自分がこうしたらいいなああしたらいいなというのが直接形になっていくのがいいなと思ったんです。
思い描いたものが そのまま形になる。原田さんの胸はときめきました。王室御用達の帽子メーカー、「フレデリック・フォックス」に入社。ロンドンの風を体いっぱいに受けて、帽子をつくる日々が始まりました。今や世界が認める帽子デザイナー、原田美砂さん。でも、もちろん、誰にでも「駆け出し」の時期はあります。原田さんが飛び込んだのは、イギリスの伝統ある帽子メーカー「フレデリック・フォックス」。日本からやってきた若き女性をすんなりとは受け入れてくれませんでした。
私以外のスタッフはイギリス人で、こんなところに若い娘が来おって、みたいなことはありましたね。他のスタッフにしてみたら、私のデザインの帽子を作っていかなければいけないわけじゃないですか。本当に、ああいう世界は職人の世界なので。ただ、負けず嫌いなんで、笑って聞き流しつつ、帰り道泣いたり。
帽子を作って40年、50年という大先輩も やがて原田さんのデザインを認めてくれるようになりました。しかし、、、そんな日々のなか、新たな想いが胸の奥に宿ります。「自分と同じくらいの年代の女の子が 普通にかぶってくれる帽子を作りたい」1998年に独立。オフィスは、ロンドン北部のマンションの1室でした。
それほど簡単なわけもなく、商売が軌道にのるまでは何年かかかりました。最初は貧乏生活といいますか、スタッフも抱えられず、ひとりで全部作るんですが、他のメーカーの帽子を引き受けたり、講師のバイトをしたり。いいお店からの発注も受けたんですけど、そんなに大量ではありませんし、でも、パリとか華やかなところにも出ないといけない。資金的にも大変でしたね。
厳しい日々の先に待っていたのは、いくつかのグッド・ニュースでした。アメリカのデパートがキャンペーンのビジュアルに原田さんの帽子をピックアップ。アメリカのいたるところの看板に彼女の帽子が登場しました。ジャネット・ジャクソンから プロモーション・ビデオに帽子を使いたい、との打診があったのもこのころです。Misa Harada。そのブランドは、ファッション業界にその名をとどろかせる存在となったのです。
帽子っていうのは、生活していく上で必要なアイテムじゃないじゃないですか。でも帽子をかぶることで気持ちがアップになるというか、そういうプラスアルファの魅力があるんじゃないかと。あと、自分の個性を象徴するアイテムだと思うんですよね。ファッションは流行もありますが、帽子っていうのは、自分を決めてくれる存在なんじゃないかなと思います。 やっぱり帽子をかぶることによって自分もハッピーになれるし、ロンドンでもよく言われるんですけど、帽子をかぶるとおじいちゃんとかに「Nice Hat」とか声をかけられるんですよね。そういうコミュニケーションのアイテムでもありますね。
帽子作りで最も大事にしているのは、「かぶったときの帽子のシルエット」。それをどこまでも追求して作った帽子をどこかの街で 素敵な誰かがかぶってくれる。それが 原田美砂さんの喜びの瞬間なんだそうです。
原田美砂さんのトランクショーがあさって日曜日、六本木ヒルズのショップ「エストネーション」で開催されます。 秋冬のコレクションを見ることができ、さらに、買うこともできます。原田さんからコーディネートのアドバイスをしてもらうチャンスもあるそうです。 ちなみに、この秋冬のテーマは、レディースが「Emerging Chrysalis(蝶になる前のサナギ)」メンズは「Modernist」(建築家コルビジェへのオマージュ)