2009/3/27 チーズのプロフェッショナルの情熱物語

今週は、チーズを取り扱う技術を競う世界大会で第2位!
銀メダルを獲得したチーズのプロフェッショナルの情熱物語。


世界2位の達人が 東京・池袋の地下にいます。
彼女が持っている世界屈指の能力とは、チーズを取り扱う技術。
店頭に立つ井上裕子さんは、村瀬美幸さんとともに挑んだチーズに関する世界大会で 銀メダルを獲得したその人です。
名刺に添えられた肩書きには「シュヴァリエ・デュ・タスト・フロマージュ =フランスチーズ鑑評騎士」とあります。 
そんな井上さんが、最初に チーズの世界の扉を開いたのは。。。

昔、フランス料理を食べにいったときにチーズのプラトーが出てきて、すごい種類がある!と思って。勉強したいなと。 18くらいからぼちぼちチーズを始めて、もともとは調理師専門学校に行ってたんですが、そのときにバイトしたチーズ・レストランもきっかけになりました。

地元・神戸のフレンチ・レストランで目覚めたチーズへの好奇心は、大阪のチーズ料理専門店でのアルバイトへと彼女を導きます。
さらに、輸入食品会社に入社し、大阪のデパートで チーズ売り場を担当。
井上さんいわく、「2年半、チーズを切りまくる日々」でした。
そして「とにかく美味しいものが好き」という、その想いを翼にフランス、リヨンへ留学。

チーズが好きなので、着いてすぐに観光局に行って「おいしいチーズはどこにありますか?」って聞きに行って、通って。朝市とか行って、おいしそう!と。

フランス第2の都市、リヨン。

実は、後に井上さんが世界2位に輝くこととなる大会、「カゼウス・アウォード」が開催されるのはこのリヨンの郊外です。
留学していた当時、観客として見に行った大会に井上さんは日本代表として出場することとなったわけですが、はたしてそれは どんなことを競い合う大会だったのでしょうか? 

2009年1月24日午前7時30分、フランス、リヨンの郊外で開催中の食品見本市「シラー」の会場に世界からチーズの達人たちが集まりました。
彼らは、チーズを扱う技術の世界一を決める「カゼウス・アウォード」の出場者。12カ国のプロフェショナルが競うのは、7つの部門です。

朝から売り場作り、、レイケースの中に1時間半かけてカットして陳列する。 それから接客。大きなチーズのカット。それからディギスタシオンと言って、これは何のチーズか当てるものですね。プレゼンテーション、筆記、そして包装と、他の諸々なことの総合点ですね。

30種類のチーズを、1メートルほどの幅のケースの中に見やすく、そして美しくカットして陳列。
井上さんがカットを担当したこの部門で、日本チームは1位の評価を獲得。
そのほか、コンビを組んだ村瀬さんのテイスティングも高い評価を得ました。
最も難しかったのは、大きなチーズをカットするテスト。
20数キロもあるチーズに、ナイフで切れ目を入れ、最後はワイヤーを使って切る、という技術。
しかし、「チーズを目の前にするとまわりが見えなくなるほど」という 集中力を発揮。 関門を突破します。
    
夕方5時。。。発表の瞬間がやってきました。
3位イギリス。 そして、2位。。。日本。

やりおわった、というのはあったんですけど、その時点ではプレッシャーとかはなくなって、やりきった、という達成感でいっぱいで。 呼ばれるなんて全くおもっていなかったんですけど。。。やあもうびっくりしましたね。 勝手に涙が出てきて。

チーズの取り扱い技術で、優勝のフランスに次いで、世界2位。
井上裕子さんのチーズをめぐる旅は、世界最高のレベルへと達しました。
しかし、この栄誉はひとつの通過点。

昔から思っているんですが、「日本にも食卓にチーズを」というのを目指していまして、私が陳列でやったチーズというのは、マニアックで日本にはまだまだ入って来ていなくて。食べ方が分からないとか、高いとか。 売り場に戻ってみて、安くても美味しいチーズをもっともっと食べてほしいな、というのを思いましたね。


西武百貨店 池袋本店の地下食品売り場。
チーズのコーナーには 銀メダルが輝いています。
この輝きの源は、「愛するモノを多くの人へ届けたい」という、食に関わるプロの「まっすぐな想い」でした。


そして、この井上さんもご登場の、ガゼウス・アウォード報告会が明日開催されます。
会場は、品川の高輪 和彊館。

こちらで開かれる「日本の銘チーズ百選を楽しもう!」というイベントの中で世界2位の報告が行われるということ。
全国のチーズを楽しめるイベントに参加ご希望の方、詳しくはチーズプロフェッショナル協会までお問い合わせください。