2009/4/17 「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」のHidden Story

今週は、J-wave春のキャンペーン「Welcome To Wonderland」でも応援しています。
暗闇の展覧会、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」のHidden Story。

渋谷区神宮前のとあるビルの地下。
参加者は、携帯電話、デジタルの腕時計など、光を発する可能性のあるものをすべて、ロッカーに預けます。
そして、8人が一組となって、暗闇の扉をひらくのです。
「時間がたつと目が慣れてぼんやり何かが見えてくる。。。」
というようなことは一切無い、漆黒の世界。
視覚障害を持つ方を案内人に、その中を進んでいくのです。

頼りになるのは、足の裏の感覚、かすかなにおい、どこかから聞こえる音。。。
普段はほとんど意識しないものと、仲間の声。。。

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、これまで世界の25カ国で開催され、600万人以上が体験したイベントです。
最初に始めたのは。。。

アンドレアス・ハイネッケと言いまして、実はラジオ局で働いていたんですね。
そこで働いていたときに、事故で目を失明したジャーナリストが入って来て、自分のスタッフとして養成することになりました。
そこで、ラジオっていうのは、ラジオ独特の世界があるんだということを教えている側のハイネッケが教えられているジャーナリストから教えてもらう、という経験をしたんですね。

ラジオのよさを彼らから教えられた。 例えば、目で見てしまうと一つのイメージしか伝えられないと思うんですが、音とかコトバには想像させる力があるので、それがダイアログ・イン・ザ・ダークに似ているんじゃないでしょうかね。

取材にお答えいただいたのは、「ダイアログ・イン・ザ・ダークJapan」の代表、 金井真介さん。
1993年、金井さんは、新聞の夕刊の片隅に“アンドレアス・ハイネッケという人物が「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」というイベントをドイツで開催している”という記事を見つけました。

人と人がどうやればフラットに対話できるだろうかとか、そういう可能性を追求していまして、そのなかのひとつのプロジェクトなんですね。
ドイツでは、視覚障害者のひとつの仕事として雇用創出として、彼はソーシャルプランナー、というか社会起業家なんですよね。
すべての人は対等に仕事につけるという信念を持っていて、だからハンブルグでは、車いすの方、聴覚障害を持つ方、中には例えばホームレスの方が一緒に働いていて、それぞれのできることで社会参加していこう、というプロジェクトになっています。

誰もが誰かを支える世界。
誰かが弱い状態のときは、隣りにいる人がそれを助ける社会。
他の人を思いやる心が 人と人をつないでほしい。
ダイアログ・イン・ザ・ダークは、暗闇の中にそんな願いをそっとしのばせているのです。

暗闇の展覧会「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」で、真っ暗な空間を案内をしてくれるのは視覚障害を持つ方です。

アテンドのチーフをつとめるのは、松村道生さん。

最初の10分15分くらいを上手くつくれたら、あとはそんなにすることはないですね。

お客様同士がコミュニケーションをとって、発見していってどんどん、お客さん同士で感じて貰えるようになったら、もうアテンドはやることがないです。
不安をとる、ということ。
コミュニケーションをどうやったらとって貰えるかなということを考えてやっています。

その声に緊張をほぐされながら、初めて出会った8人が助け合いながら闇の中を進みます。

参加した方の感想はさまざまですが、「ダイアログ・イン・ザ・ダークJapan」代表の金井真介さんによると、アンケートにある言葉で最も多いのは、「みんなに体験してほしい」。

政治家の方も、主婦の人も、子どもも大人も、みんながこれに1回でも入れば、ひょっとしたら、絶望的な未来ではなく、何かが変わって行くんじゃないか、っていうみんなの直感だと思うんですけど。
楽しみながら世の中を変える、そういうチャンスになるんじゃないかなと思っているんですけど。

1999年に東京で初めて開催して以来、真っ暗にできる空間を探すのに苦労しながらも、毎年行われてきた「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」。
今回は、「常設」を目指しての長期開催です。

入る前よりはちょっと、みんなのことを考えられる装置だったらいいなと思います。
見えてると恥ずかしいけど、見えないと素直になるんですよね。

発案者のハイネッケは、暗闇は人を元に戻すメディアだと言っていて、元々人が持っている、「人は人が好きだということ」「人は助けたり助けられたりするのは気持ちいい
」とか、それを大人になるにつれ忘れてしまっているので、人は同じだということや、対等であることを思い出させてくれる。

人は人が好きだということ。
助けたり助けられたりすることは気持ちがいい。
忘れかけていた大切な想いが暗闇の中で見えてきます。

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