ゴールデンウィーク、東京の街が緑に染まり始める頃、丸の内周辺では クラシック音楽が風にのって聞こえてきます。
今年で5回目の開催となる「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」。
クラシックの祭典が始まるのです。
「ラ・フォル・ジュルネ」というのはどういうものかと、結局クラシックというと限られた人たちのもの、というイメージがありますが、それを払拭して、あらゆる人が聞くことができる、クラシック音楽を取り囲んでいる敷居のようなものをはずして、すべての人に聞いてもらえるような仕掛けを作ったものがこの音楽祭なんです。
クラシックを取り囲んでいる敷居をはずし、誰もが楽しめる音楽祭を作る。
きっかけは、フランス、ナントで開催されていた音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」の存在を知ったことでした。
ルネ・マルタンが芸術監督をつとめる「ラ・フォル・ジュルネ」。 東京国際フォーラムの鈴木順子さんは、現地へ飛びました。
私が初めて行ったのは2003年の1月なんですが、見に行ったらもう映像で見た以上ですね。 これは絶対日本に持ってこようと確信して。。。
ナントでは、シテデコングレという国際会議場がありまして、ルネ・マルタンの言葉を借りると、そこが「音楽の島」になっている感じなんですね。
一歩そこに入るとすごい熱狂がうずまいている、という感じですね。
2004年の3月、東京での開催が決定しました。
開催は、翌年のゴールデンウィーク。
やるべきことは、文字通り、山ほどありました。
モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」の原作でありフランス革命のきっかけとなったとも言われる戯曲「ラ・フォル・ジュルネ あるいは フィガロの結婚」。
ここからタイトルをとった音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」。
その根底に流れるのは、自由、平等、博愛。
「すべての人と音楽を分かち合いたい」という想いです。
例えば、クラシックというと、チケット料金が高かったり、きちんとした服装をしていかなければいけないんじゃないかとか、子供は入れないと言われたりとか、クラシックの演奏会というと2時間あって、そのあいだずっと静かに座っていなければいけないとか。
それをチケット料金に関しては、1,500円から3,000円までという非常にリーズナブルな料金にしたり、時間も45分間というのを基本にして、それから子どもたちもアプローチできるように、0歳からのコンサートというのを作ったり、夕方までのコンサートは3歳以上でも入れるようにしたり。
誰にでも楽しんでもらえる音楽祭。 低価格の料金設定のためには、アーティストにもその趣旨を説明し賛同してもらう必要がありました。
「街から音楽が聞こえてくる」
そのためには周辺のディベロッパーや行政の協力も かかせないものでした。
しかし、音楽の名のもとに、心はひとつに。
2005年4月29日、東京国際フォーラムで「ラ・フォル・ジュルネ」 最初の有料公演の幕が上がります。
初日、ホールAで、0歳からのコンサートをやったんですね。
0歳のため、ではなく、0歳からということで、この音楽祭は、人類が持っているクラシック音楽という素晴らしい音楽をすべての人と分かち合いたい、ということが根底となっているんですけど、0歳からお年寄りまですべての人が楽しめるものを、ホールA、5,000人が入るんですけど、そんなコンサートを作ったんですね。
井上道義さんが指揮をされたんですけど、子どもがたくさん入っているというのを知って、子どものために語りかけたんですね。すごい印象的な言葉だったんですよ。
1回目は初めてのことでしたので、これまでのクラシックの演奏会に慣れている方が子どもの声がうるさいとおっしゃったんです。
で、0歳のための、ということにして小さいホールでやったほうがいいのかとか、そういうことも考えたんですが、やっぱりこのコンセプト、「すべての人とわかちあうんだ」ということでずっとやってきたんですね。
5,000人が分かち合う素晴らしい空間になっているんじゃないかなと思います。
印象的な絵があります。
これまでの「ラ・フォル・ジュルネ」についてまとめた資料、その表紙には、クラシックの演奏家が スーツに「青いスニーカー」をはいている絵が使われているのです。
誰もが楽しめる音楽祭、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」。
昨年は、来場者数が100万人を越えました。