2009/7/24 ビーチサンダル専門店「げんべい」のHidden Story

今週は、夏には欠かせないアイテム、「ビーチサンダル」。
葉山にあるビーチサンダル専門店「げんべい」のHidden Story。

梅雨明け、夏休み、青い空、青い海。
多くの人が訪れる葉山のビーチ。
森戸海岸からすぐのところに、ビーチサンダル専門店「げんべい」はあります。

江戸時代末期から続くというお店。 実は、ビーチサンダルを専門に扱うようになったのは、5代目、中島広行さんが、げんべいに加わってからのこと。

結婚した相手がげんべいで、そこにサラリーマンをやめて転がり込むようにやってきました。あの、、、ビーチサンダルに特化していなかったんですよ。 どちらかというと“よろずやさん”的なお店で、日用品までいろいろ売っていたんです。

東京とか大阪に仕入れに行って、お店に並べていて。
でも、いっこうに上向かないんですね。
入ってみてわかったんですけど、げんべいは、売り上げがゆるやかに落ちていたんです。

1998年。
奥様の実家が営んでいた「げんべい」に転がり込むようにして入った中島さんは、こう思います。
「これは、大変なところに来た」。

それから3年間は がむしゃらに働きましたが、業績は上がりません。
でも、そんな日々のなか、ヒントらしきものが見えてきます。

一番最初にお店に来た時のイメージがビーチサンダルだったんですよね。 今と変わらないんですよ。 こんなに色がって、こんなにサイズがあって、こんなに量があって。これはすごいなと。 で、何年かお店をやっていくうちに、げんべいに来るお客さんというのは、もうビーチサンダルが目的なんですよ。 他のものは買わない。

だったら、ビーチサンダル一本でいいんじゃないかな、と思って、そこから変わり始めたんです。

海の町 葉山で、 江戸時代から続く「げんべい」。
大きな転換点は、すぐそこまで来ていました。
このあと、ひとつの出会いが お店の未来を変えることになります。

今は、ビーチサンダル専門店として営業を続ける「げんべい」。
様々な商品を扱っていたスタイルから、ビーチサンダル専門のお店へと 方向を変えるきっかけは?

2001年。 そのころ、「ホームページで通販」というのが、世の中にも出て来て、たまたま、葉山のパソコン教室に出てみたんです。 そしたら、そこの会社の人が「げんべい」を知っていて、「げんべいのビーチサンダルって通販向けだね」っていう話になって。

ホームページで通販始めよう。
だったら、もう、売るものは「ビーチサンダル」だけでいいじゃん。
タイトルも「ビーチサンダル専門店」にしようと。
そこがひとつの転機で、それがなければどうなっていたかな。。。みたいな。

げんべいの中島広行さんがパソコン教室に通った理由は、
「通販サイトを作ろうと思ったから」
ではありませんでした。

時間があったから(笑)。 暇だったんです、その当時。

いくらでも時間がありましたね。
決して「時代はパソコンだ」とは思ってなかったです。

パソコンを教えてくれる講師の方が、通販サイトを提案してくれました。
そして、のちに大人気となるロゴも このときにできます。

ホームページを立ち上げるときに何かロゴがないとおかしいだろう、と。そのときに、「○にげ」というロゴができるんですね。 で、父親に見せてオッケーもらったんですけど、何年かして、「うちには、“かねさ”という屋号あるんだよ」と教えられて。 え?じゃあ、それでもよかったんじゃない? 先に言ってほしかったな(笑)というのもあったんですけど。

ちょうどその頃、ユニクロがフリース100色というのをやっていたんですよ。
うちのビーチサンダルも組み合わせからいくと100だ、台が10色、鼻緒が10色、サイズが12。
「だったら、100でいこう」というような、そういうノリで。

季節商品であるビーチサンダルだけでやっていけるのか?
そんな不安は、通販サイトを立ち上げると、一気に吹き飛びました。
ビーチサンダルに特化したことで、状況は一転したのです。

今や、島ぞうりの本場、沖縄からもコラボレーションの依頼が舞い込んだり、アメリカへも商品を発送したり。
葉山のビーサンが海を超え、世界のビーチを歩き始めています。

10年振り返ってみて。 葉山って人口3万人しかいなくて、お店がある場所も、バスがすれ違うのが精一杯で、商店街でもなくて。 すぐ前がビーチで、裏は山で。。。みたいな、そういう場所からでも全国とか世界へ情報の発信ができる。それをやっているのが家族経営の店だ、という。 同じような家族経営の方にも、こういうやり方があるよ、っていうのを知ってほしい。 今の状況をみると、ビーサンがあったからだとか、葉山にお店があるからだとか言われますけど、でも10年前はそんなことなかったので。 だから、こういう方法があるというのを発信していきたいですね。