アフリカの南東、インド洋に浮かぶマダガスカル。
その西海岸、モザンビーク海峡に落ちる朝の月を臨んで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。 スープたっぷりのごはんを食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
日本の1.6倍という広大な国土のマダガスカル共和国。
首都アンタナナリヴから飛行機に乗っておよそ1時間でムルンダヴァに着き、着陸の時に窓からは、点在するバオバブの木を見る事が出来ます。
この地はバオバブの並木道という観光名所があるのです。
太い幹が天に向かって伸び、そのてっぺんに枝や葉が生えるバオバブの木は、雨が少なく乾燥する冬の半年間は、ひたすら大地からの水を貯えます。
光合成をする葉っぱが少ないので、成長がとてもゆっくりで、だからこそ樹齢数百年もの大木になる、ということなのです。
マダガスカルでは、田んぼが多く、地域によっては1年に3度稲刈りをする三期作も行われます。
平均的な一人当たりのコメの消費量はおよそ1日1キロ。
いわゆるどんぶりメシのように食べたり、つけあわせの野菜代わりに出てきたりと、三食にたっぷりと食べるのが普通です。
「トマトソースやキャッサバというアフリカの植物の葉っぱで煮込んだ牛肉や豚肉などに、ココナッツやサフランで炊き込んだご飯と一緒にひとつの皿で食べる」というのが典型的なマダガスカル料理なのです。
マダガスカルの代表的な朝ごはんは雑炊。家庭ではもちろん、ホテリーと呼ばれる、大衆食堂など、全国どこでも食べられます。
「ヴァーリ・アミアナナ」と呼ばれる雑炊の料理は、たっぷりの葉野菜をコメとともに煮込んで、ひき肉などで味付けをするのが一般的です。
魚介類の豊富な西海岸では、塩味が効いた小さなエビのスープがたっぷりの野菜とお粥にマッチするのです。
炭火を七輪のようなものでおこし、鍋で料理することで、マングローブの木が骨組みで、ヤシの葉っぱでふいた屋根という家屋から、雑炊の湯気があがるというのが、西海岸の町や村の早朝の風景。 一日のはじまりです。