佐賀県の鹿島市、東京湾にも匹敵する有明海を照らす朝日を東にのぞんで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。おいしい炊きたてのごはんを食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
今からおよそ8万年前の阿蘇山の大噴火によって、その土砂が堆積した内海の有明海。
筑後川と矢部川から栄養豊かな水が流れ込んでいて、外海からの影響を受けないために、さまざまな生物がゆったりと生活しているという海。
それでいて、潮の満ち引きによる、干満の差が非常に大きく、潮が引くと最大で6メートルほど海面が下がります。
潮が引いた後のドロの海底が干潟となるのです。
私たちが朝食にかかせない、それだけでなくおにぎりなど1日中ごはんとともに食べることが多い海苔。
全国で1年間に約100億枚が生産されています。もちろん東京湾も江戸時代からの有名な海苔の産地でしたが、今では生産量の4割が有明海を占めなかでも佐賀県の有明海でとれるものが、高品質で人気です。
それは、潮の流れがいことでく、海の隅々までに酸素が行きわたり、豊かな生態系が形成されているからだと言われています。
ちょうど今の時期から海苔の本格的なシーズンがスタート。
漁師たちが海に大量の支柱を立てて行きます。 そして海苔のタネがついた網を張っていくのです。
潮が満ちているうちに海の中の豊富な栄養素をしっかりとたくわえ、潮が引いて日光を浴びると、今度はそのうま味を閉じ込めます。
しかし雨や天候による水質の微妙な変化のため、そのバランスを保つためには、大変な手間がかかりますが、ずっと海につかったままで養殖された海苔とはまったく違う高品質な海苔が出来上がるのです。
それでは、すこしのお醤油だけでいただきましょうか。
有明海沿岸は諫早湾干拓問題で大きく揺れた地域ですね。
一時期は、水質の変動などによって海苔の生産量が落ち込んだり、品質に大きく影響を与えたりしました。
しかし今ではアミノ酸の含有量による独自の等級で品質管理されたものが、安定して供給されるようになりました。
さて来週は、カナダ東部に浮かぶ島、プリンス・エドワード島の朝の風景をお届けします。