2009/11/06 秋の京都

澄み切った冷たい空気で、冬の訪れを感じる秋の京都。
色づいた紅葉を眺めて、彼女は大きく背伸び。

そして心に決めました。暖かいものを食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。

今週は錦秋の京都です!!

京都の秋といえば、やはり神社仏閣とともに映える紅葉。
盆地だけに寒暖の差が大きいため、色づく照り葉が鮮やかです。
なかでも紅葉の名所としておなじみなのは、嵐山と南禅寺。
今週末は紅葉祭りが行われるのが京都の西の端の嵐山。
そして東側から京都市内を見下ろす位置するのが、京都の東の端の南禅寺です。国宝や重要文化財がたくさんの臨済宗南禅寺派大本山、その正式名称は太平興国南禅禅寺。
700年以上の歴史をもつ名刹です。

石川五右衛門が「絶景かな」と見えを切る歌舞伎『楼門五三桐』
その舞台がこの南禅寺なのです。

その門前には、なぜか湯豆腐の店が点在

南禅寺の参道には、代々続いた古式ゆかしい料理屋が並び、多くに「湯豆腐」の看板がでています。
「勧進料理」つまり仏門を勧めるために、戒律の厳しい僧侶と同様に、なまぐさいものを食べないシンプルな菜食、一種のベジタリアンが、原点となっているからです。
とはいえ、やはり京都ならではの華やかさなのか、古くから懐石料理として高級な料理として、進化しています。
中でも先月発行された「ミシュランガイド京都・大阪」で7店ある三つ星のひとつに選ばれた「瓢亭」。
その典型といえるでしょう。

名物の朝食は朝がゆ

一般的な料亭は夜の営業ですが、ここ「瓢亭」の営業は冬場を除いて午前8時から。祇園で夜通し遊んだ旦那衆が、朝帰りの際、主人を起こして作らせたいわば裏メニューが、その起源で、明治時代から営業をはじめたと言われています。
名物の半熟卵は白身の固さとトロリとした黄身のバランスが絶妙。
三段になった鉢物には、和え物、蒸し物、炊き合わせが入りさらに旬の献立と、白みそ仕立てのお椀とともにいただくお粥。
凄烈な水だけで煮出したお粥に、薄口醤油とかつおだしの葛あんをかけながら、あっさりした滋味豊かな味わいを楽しみます。
日本が世界に誇る、最も高級な朝食のひとつと言えるでしょう。

朝がゆの営業は11月末まで。冬場は「うずらがゆ」での営業になりますが、本館と別館では、営業する季節も中身も、そしてお値段も若干異なります。
絢爛豪華な京都での夜遊びの延長でのメニューだけあって、いずれにせよ、あっさりと食べて、後に残らない繊細な味。
日本ならではの文化が凝縮されています。