2009/11/13 アルゼンチン ブエノスアイレス

紫色に花が咲き乱れるハカランダの木々。
日本での桜のように、春の訪れを感じて、街路樹の大通りで彼女は大きく背伸び。

そして心に決めました。街の食堂の朝ご飯を食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。

今週はアルゼンチンの首都、ブエノスアイレスです!!

日本と時差が12時間。
南半球で気候も全く正反対の街、ブエノスアイレス。

400年以上続くヨーロッパのような町並みから「南米のパリ」とも呼ばれます。
ウルグアイとの国境を分かつラ・プラタ川の河口の港町でもあります。
もともと人口の95%はヨーロッパ各国からの移民で、彼らが最初に上陸したのが「ボカ」。
ディエゴ・マラドーナ現サッカー・アルゼンチン代表監督をはじめ数々の名選手を生んだチームの本拠地「河口」という名の港町です。
薄暗いバーで、各国からの音楽と、労働者の哀愁の詩がミックスされタンゴとなったといわれています。

眠らない街の中心地にはタンゴと焼いた肉

街の中心街であり、ここからブエノスアイレスの歴史が始まった古き良き時代の建物がいっぱいのサンニコラス地区、今もなおアルゼンチンの政治経済、文化の中心です。
とっぷりと日が暮れた時間になってから、おしゃれなスーツやドレスに身を包んだ人々が、夜の街に繰り出します。スカラ座、オペラ座と世界三大劇場といわれるコロン劇場は、現在改修工事中ですが、それ以外にも、タンゴが見られるタンゲリーア、というライブハウスが点在。
午前零時をすぎても、街はにぎやかです。農業大国だけあって、アサードという分厚い肉のステーキで、ディナーでしょうか。
1キロはあろうかという量でも1500円程度というお値段。
営業時間は深夜の1時以降までというのが一般的です。

そんな街の朝ご飯とは

夜が明けて朝6時50分。
何とステーキを出していた食堂が、早くも開店の準備に余念がありません。
行き交うビジネスマンが、出勤前の腹ごしらえに立ち寄るからです。
世界最大の広さ、ともいわれる、片道9車線の7月9日大通りと、5月通りの二つの目抜き通りの交差点の角にある「グリル・オリエンテ」はそんな店の一つ。
朝7時から営業開始です。
夜にステーキを焼いていた窯には、鉄板にのせた小さめのクロワッサンやペストリーが焼かれ、コーヒーと一緒に軽い朝食をとる人々でにぎわいます。
さすがに夜に大量の肉を食べるだけあって、朝は軽めなのでしょうか。
そこで口ひげが立派な初老の給仕長らしき人に「メニューは朝のコーヒーから夜のステーキまで一緒にあるけど、ステーキもやっているの」と聞いたところ「窯の火は落としていないからいつでも出せますよ、アミーゴ」という返事が返ってきました。

ブエノスアイレスの「グリル・オリエンテ」での朝の食卓はパンとコーヒーのセットで200円程度。

一日三食肉を食べ、主食が肉だと豪語する人もいるアルゼンチン。
そんなどん欲な胃袋を支えるのがこの街の食堂です。
朝のパンは道端で売っているバケットの屋台で、ポットに入ったコーヒーと共に買ってオフィスに持っていくか、夜に肉を焼いていたお店が出すクロワッサンなどを、食堂の店内で食べる、というのがブエノスアイレスの都会っ子「ポルテーニョ」の習慣です。