2009/11/27 高知県 四万十川

高知県の四万十川、河川敷のキャンプ場。
川の霧が立ちのぼり、ようやく明けた空に向かって、彼女は大きく背伸び。

そして心に決めました。川魚の朝ご飯を食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。

今週は高知県の、四万十川です!!

柿田川、長良川とともに「日本三大清流の一つ」と呼ばれる四万十川。
高知県の西側を流れ、全長196km。 四国最長の川です。

「日本最後の清流」といわれ、日本の秘境100選にも選ばれているのには理由があります。
それは本流に大規模なダムがないこと。

大きな川でもキレイな水、というのは現在の日本には貴重な風景。
その豊富な水量から、川の漁が盛んに行われてきました。
ウナギ、アユ、ツガニ、テナガエビなどの天然の魚介類のほか、青海苔の産地としても有名です。

四万十川の漁師たちの伝統的な漁のやり方

この地の伝統的な漁法は、獲物によってさまざまな仕掛けを施し追い込んで収穫するというもの。
例えば葉っばが付いたままの枝を束ねて、何日か水中に沈め、その隙間にテナガエビやウナギなどの魚が住みついたのを見計らって、それを川から上げて、受け網の上で振るって獲物を落とす「柴漬け」というのはその一つ。
川魚の代表格ともいえる鮎では、まっ暗闇の中で、川下から仕掛け網を川上に向かって静かに張り、突然照明ランプで川を照らし、竹ざおで水面をたたいて鮎を驚かせ、逃げるところを網にかける「火振り」という漁法を用いたりします。

この時期の鮎ってどんなもの

鮎といえば夏の頃が旬、というイメージがありますが、秋には成熟し一般的な灰色と緑色から「さびあゆ」といわれる橙と黒の独特の色へ変化します。
産卵のため下流域へ移動し、この時期になると産卵を終えて「落ち鮎」と呼ばれるようになり、これを仕掛け針で釣る漁の解禁が迫ります。

産卵のための禁漁は例年10月15日から11月末。
つまり12月1日が四万十川の「落ち鮎」解禁日です。

これを待って前夜からたくさんの釣り人が集まります。
もっともポピュラーな四万十市の鉄道橋の四万十橋、通称赤鉄橋周辺は、暗いうちから100人を超える太公望が集まる人気スポット。
河原では、川漁師が釣った鮎を塩焼きにしたり、白焼きにして甘露煮にしたりする地元の人々のテントが出ることもあります。
養殖の鮎とは違う、天然の鮎独特の味と香りは、やはりキレイな水で、質のよい藻が育つこの地ならではのものです。

急峻な地形から、川を伝って海に雨水が流れる日本。
昔からの里山の風景を大切にするのと同じように、川のあり方、そしてそこでの生活もまた大切にしたいものですね。
美しい四万十川。
しかし去年は渇水のため収穫量がほぼ半減。
地元の川漁師さんたちも「こんなに掛からん年は珍しい」と、厳しい表情だったそうですが今年は豊漁を期待したいものですね。