本州最北端の下北半島から津軽海峡を見渡し、雪雲の合間にかすむ対岸の道南を望んで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。 日本一といわれるマグロを食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
太平洋と日本海の海流が複雑に交わり、潮の流れが必然的に早くなるこのあたり。
サンマやトビウオ等を追ってきたマグロがこの津軽海峡にやって来る頃には、上質な脂がのっています。
特に海水温が一番下がる年末が、一番おいしいとされる時期。
築地市場で5日に行われた初セリで、重さ232.6キロの天然の大間産クロマグロが1,628万2,000円の最高値で競り落とされました。
キロ当たり単価は7万円。 過去10年で3番目の高値だそうです。
しかし「大間のマグロ」の名前が全国区になるに従い、この地にマグロを目当てに訪れる人も少しずつ増え、古くからある食堂やすし屋の他にマグロ専門店も去年秋オープン。
自社で船を持ち、釣ってきた近海物のクロマグロを店舗の中の工場でお客さんの前で解体。
そのまま切り身を販売したり、調理して店内で食事もできる。
こうして地域の活性化をしていこうという試みです。
口の中でとろける、という脂の乗ったトロの味わいは、ホンモノを体験した人でなければわかりません。
初セリのクロマグロは、半分が銀座の高級寿司店、そしてあと半分が香港をベースにし、日本にもフランチャイズがある、寿司のチェーン店によって購入されました。
そんな縁起物を食べるか、それとも本州最北端に食べにいくのか。 どうしましょう。