北アフリカのモロッコ。 マラケシュ市内から山の頂に積もる雪をのぞんで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。 家庭料理で暖まるものを食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
今週はモロッコ、マラケシュです!!
映画にもなったカサブランカ、首都のラバト。 それに次ぐ第三の都市マラケシュ。
アトラス山脈の丘陵地帯に位置して、世界遺産に登録された旧市街は900年もの歴史を誇ります。
その象徴ともいえるクトゥービヤ・モスクにある、礼拝字間を知らせるための塔「ミナレット」は、世界中の建造物に影響を与えたとされています。
そして街の中心でにぎわうところはスークと呼ばれる市場。
野菜や肉、魚などと共にたくさんのスパイスが売られています。
多彩なスパイスを使いこなして、複雑で深い味わいを醸し出す。
それがモロッコ料理の特徴といえるでしょう。
スークのスパイス売り場になぜか果物が
唐辛子、にんにく、ショウガ、パプリカ、クミン、パセリなど、そんなスパイス売り場で、なぜかレモンが売られています。
そう、野菜売り場でも、果物売り場でもないのです。
モロッコではレモンは食べる時に絞り汁を使うというよりも、塩漬けにしてスパイスの香りをひき出すための、ベースの調味料。
各家庭で瓶詰めにして保存するのが一般的です。
飲み水が貴重なモロッコでは、野菜や肉に含まれる水分を無駄なく使うための調理道具として「タジン」と呼ばれる土鍋をよく使います。
とんがり帽子のようなフタが特徴的。
なぜかというと食材から出る水分が、蒸気となってフタにつき、高さのある上の部分で冷やされて、それが水滴となって料理に戻る。
いわば地球の水の循環が鍋の中で行われます。
だからレモンの塩漬けからの塩分と水分が、食材にしみ込み、スパイスの香りを酸味が醸し出す。モロッコ料理の神髄です。
マラケシュの伝統料理は「鶏のタジン」
ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎなどの野菜とチキンだけ、というシンプルなとりあわせの煮込み料理がモロッコの、とりわけマラケシュの家庭料理の定番です。
タジンは土鍋だけに、弱火でコトコトと長い時間をかけて蒸し煮にしますが、ひと晩おいた翌朝は、しっかりと野菜に味がしみ込んでまた格別のおいしさとなっています。
ただしこればかりはレストランなどで出てくる料理ではなくて、あくまで、現地の台所のレシピといえるでしょう。
朝食ですからパンも欠かせませんが、モロッコのパンは外がカリカリ、中がもちもちしていて、独特な食感です。
セモリナ粉と小麦粉を混ぜ、酵母と共にこねたものを、フライパンで焼くだけ。タジンのスープのスパイスでいくらでも食べられてしまうのです。