2010/3/26 六本木アートナイトのHidden Story

今週は、今年が2回目の開催となります、六本木アートナイトのHidden Story。 

2009年3月28日土曜日、深夜の六本木ヒルズ。
週末とは言え、普段なら人通りもまばらになる時間帯。
その日は、大勢の人が目を輝かせていました。
森美術館、国立新美術館、そしてサントリー美術館。
六本木にある3つの美術館が中心に企画した第1回の「六本木アートナイト」が開催されていたのです。

このイベントを開くきっかけについて、六本木アートナイトの実行委員長、森美術館 南條史生館長はこう語ります。

これはですね、もともと、六本木に3つの美術館ができた段階で、「六本木アートトライアングル」っていう、一緒にアクティビティをやっていこう、プロモーションもやっていこう、という協定ができたわけですね。
で、一緒に「アートマップ」のような地図も出していたんですが、さらにそれを拡大していくと、六本木の街を使ってアートのイベントをやれるといいな、とこういう風に発展していったわけですね。
でも、長いこと一緒に展覧会をやるとか、いっしょにあわせるのは難しいものですから、そこで一晩限りのアートイベントをやろうと、こういうことになったわけです。

一夜限りのアートイベント。
発想の源は、フランス パリにありました。

フランスのパリの大きなイベントで、「ニュイ・ブランシュ」というのがあるんですね。
意味は「白夜」ということなんですけど、一晩じゅう遊ぼうよ、とこういう呼びかけなんですね。
これをひとつのモデルとして一晩だけやろうと。

一晩だけならあまり管理する必要もないですし、本当に短い時間だけぱっと見せてすぐ撤収すればいいわけですから。
そのときに集中してみんなに来てもらう。

パリで開催される「白夜」という名のアートイベント。
これを 東京 六本木で開催したらどうなるだろう?
準備をすすめるチームの胸は高鳴りました。

東京の真ん中でやれば、みなさん、来るんじゃないかと。
3月にやってるわけですが、3月の末っていうのは、桜がほころびてくるいい時期じゃないかと。
冬のあいだ、みなさん、夜の間は遊ばないわけじゃないですか、寒くて。でも、そろそろ夜遊びでもしようかと、いうところで桜も咲いてきて、そこに一晩限りのイベントをぶつけていくと。
これはやっぱりマッチングしているんですよね、タイミングがね。

森美術館、国立新美術館、サントリー美術館、六本木にある3つの美術館が中心となって開催する「六本木アートナイト」。
今年は、第一回目よりもさらに 街とアートの融合を目指します。

例えば、街角にモニターが置いてあり、そのモニターに猫が映っている。
でも近づくと、猫が逃げてしまう。。。そんな作品も登場予定。
美術館を飛び出して街に出るということは、もちろん、破損してしまう恐れもあります。

これはもちろん、一晩限り、街に出て行くわけですから、そういう覚悟でやるわけですよ。
でも現代美術ですから、こわれても直せるでしょ。
これがゴッホやルノワールだったら大変ですよね(笑)

さらに、観客が参加するタイプのアート作品も。

できるだけたくさん街の中にアートが展開している状況をつくりたいなと思っています。

アートと街が一体化していると。 そこで生活というか、普通に街を歩いたりお店に入っていくなかに、アートが見えてくる、という状況をつくれたら一番いいですよね。

今年はフランスのキダムというグループが白い巨大な風船のようなものを頭につけて練り歩きます。
それから1万個以上、みなさんに光る風船をくばります。 そうすると観客がパフォーマンスのプレーヤーになるわけです。
アート作品に参加することになるわけですね。この光る風船は、このイベントのメインのキャラクターになっています、椿昇さんの巨大なロボットのような怪獣のようなBefore Flowerという彫刻が立つんですけど、それが胞子をまきちらすようなイメージで、風船が街じゅうに広がっていく、というそんな考え方になっています。

去年は50万人もの人が楽しんだ「六本木アートナイト」。
目指すのは、アートと人と街をつなぐイベントです。

そして、「このア−トナイトをきっかけに、大きなうねりを生み出したい」。
そう語る 森美術館の館長 南條史生さんが胸に描くアートの未来とは?

ヨーロッパなどを見ていると、若い人がアートの方にいくのが非常に増えているんですね。 ひとつの大きな産業なんですよ。
そこにはデザイナーも入るし、建築家も入るし、アートって言葉の意味を広くとれば、膨大な仕事もありますし、ひとつの経済活動としても認められるものだと思うんですよね。
これを日本はもっと振興していってね、新しい日本の売り物というか、産業の柱にしたらいいんじゃないかと思うんですよ。
今創れるのは、現代文化じゃないですか。
だから現代文化をたくさん創ってね、それが残れば将来奈良や京都になるわけで、今、いいものをたくさんつくって、それを世界中から見に来る、という文化大国になればいいと思うんですよ。
ぜひ、このアートナイトで、Tune In To A New World!  新しい世界への扉、開いてください!! » 六本木アートナイト