インドの南西の沖。サンゴ礁の島国、モルディブ共和国。
早朝に飛行機で到着した首都マレで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。リゾートに行く前に地元の朝ごはんにしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
インド洋に浮かぶ大小1200の島々で構成され、20の環礁、つまり円形に拡がるサンゴ礁が行政区画となるモルディブ共和国。
空港のある島、リゾート施設がある島、作物を栽培している島、漁業の基地となる島などなど、それぞれの島に役割があり、およそ200の島に住民が住んでいます。そして住民は島から島へと必要に応じて船で移動しているのです。
観光でやってくる旅行者は、必ずマレ国際空港があるフルレ島を経由しなければなりません。この島は空港と滑走路、そして空港施設の近くのホテルしかありません。
リゾートに滞在する観光客は、現地の人々の生活に触れる事なく、フルレ島から、セスナ機や船で直接、リゾート施設のある島へと向かいます。しかし一番近いマレ島が首都機能のある島なのです。
2平方キロメートルあまりの小さな島に、およそ10万人の人々が暮らす、世界でも有数の人口密度を誇る都市。そこはゆったりしたリゾートとは全く別世界。人々が忙しく行き交っています。
とれたての海産物と、農業のための島から入荷した野菜などを売るマーケットは朝から活気に満ちています。その周囲には地元の住民で買い出しに来る客相手の屋台が、いろいろと出ています。
もともとスリランカから移り住んできた住民が中心です。
ポルトガル、オランダ、イギリスなど、さまざまな国の統治を受けましたが、やはり地理的に最も近いインドの影響を受けています。
屋台の中でも、あまい香りをふりまいているのが「カージャ」の店。
それは小麦粉と米の粉、そしてベーキングパウダーをこねた生地をシロップに漬けて、きつね色になるまで揚げたもの。
いってみれば、とても甘い揚げパンというところでしょうか。
ねっとりと蜂蜜や砂糖のシロップがついている、揚げたてのパン。
ガツンと甘く、そのまま食べると手に甘味がまとわりつきます。
アッサムの茶葉で濃く入れた、ミルクティーと共にいただきましょう。
夜明け前からコーランが流れ、バイクが行き交い、活気に満ちている首都マレ。ちなみにモルディブ共和国は戒律の厳しいスンニ派のイスラム教なので首都マレでは、お酒は売っていないばかりか、観光客でも手に入れる事はできません。だから甘いものが楽しみ。
ちょっとしたぜいたくなのかも知れません。