今週は、ゴールデンウィークに通過された方もいらっしゃるでしょう。
首都高速、大橋ジャンクションの誕生秘話。
大橋建設事務所の所長、佐伯公さんが明かすHidden Story。
首都高速3号線と中央環状新宿線をつなぐ大橋ジャンクション。
そもそも、作られることになった理由は、都心の交通渋滞を緩和させることでした。
都心環状線の一番小さいところに、すべての高速道路ですね、例えば東名、中央道、東北道、そういうのが全部つながっていると、これが首都高の渋滞の根本原因なんです。
実は都心環状線を通過するだけの交通というのが、半分くらいあるんですね。
そういう交通を外側に環状道路を造るということで、それが中央環状線なんですけど、中央環状線を造ることで交通を迂回分散させて首都高の渋滞を緩和させると。
これが中央環状線のなりたちです。その西側部分が今回の山手トンネルで、東側、北側に続いて、今回、東名までつながってだいたい8割くらい完成したということになります。
新宿方面から走ってくる山手トンネルと、首都高3号線。
これをジャンクションで結合する。
およそ20年前に計画はスタート。
さらに、10年前にプランを見直し、よりコンパクトなジャンクションの建設が決まりました。
大きな特徴は3つありまして。 ひとつは非常にコンパクトだということです。
フルジャンクションといって、いろんな全ての方向に行ける、フル方向のサービスをするジャンクションでいえば、通常の4分の1くらいになっています。
その分、ぐるぐるっと2回転して、全体的に縦に縦走構造になっているということなんですけど、で、もうひとつ、そういったループでぐるぐるっとあがるということで、環境上大きい影響が出てくる。それで、ループを覆ってしまおうと。 それで周辺への排ガスが極力なくなると。
ただ、覆うことで中に排ガスがたまります。
なので、中には換気所を作って。それと、ぐるぐるっと周りをかこってしまいますので、中の方は移転してもらわなきゃいけない。
結果的には、東京都の再開発事業で、ジャンクションと再開発を一緒にやるという世界でも例のない取り組みができたと。
街づくりとジャンクションの建設を同時に行う。
世界でも他に例を見ないプロジェクトが始まりました。
いろんな。 技術的には非常に難しい技術を使っています。
例えば、シールドという穴を掘る機械があるんですが、この大橋ジャンクション、山手通りから国道246の下、例えば、246の下には、首都高3号線の基礎があります。
それから田園都市線があります。
その下を、直下をシールドで抜けると。シールドというのは、大きい筒のような工事の工法なんですけど、直径が13メートル、ビルでいうと4階くらい、重さで2000トンくらいという機械で、地中で掘ると。
場所は、交通の要所。
首都高3号線、国道246号線、山手通り、さらには田園都市線が地下を走っています。
日々、多くの人が行き交う場所での大工事。
チームが直面した最大の壁とは?? 曲の後、公開です。
首都高速、大橋ジャンクション。
世界的に見ても非常にコンパクトなサイズのジャンクションです。
工事のなかで最大の難所となったのは、首都高速3号線とジャンクションをつなぐ部分でした。
3号線に取り付くところですね。 その部分っていうのはですね、246や3号線をまたいで高速道路をつなげなきゃいけない。
で、ループの部分はコンクリートでできています。 基本的に土木建造物はコンクリートで出来ているんですね。
そういった国道や高速道路をまたぐ部分は、コンクリートじゃ作れないということで、鉄の橋になっています。
「交通量が最も少ない時間帯=日曜の深夜から月曜日の明け方、午前1時から5時にかけて」
首都高3号線を通行止め、わずか4時間の間に鉄の橋をかけなければいけない。
100人以上のスタッフが緊張して臨んだ工事でした。
冬場で寒い時だったんですね。
鉄の橋って熱いと伸びますし冷たいと縮みます。 線路のレールもそうだと思うんですけど。 その橋が、間違いなく寸法通りにできているかどうかを確認するために、温度がそのときの温度になっていて、その寸法どおりになっているかを確認するのがすごく大事でした。
どうやったかというと、けたを地上で組んでいくわけなんですけど、架設する時間、真夜中の2時ごろなんですけど、その時間にあわせて測って、これはもう何回も測って、その時間の温度だとその寸法どおりになっているか、真夜中に測って確認したり。 その辺は、隠れた技術と言いますか、日本のものづくりの技術なのかなと思います。
今年3月28日、午後4時。大橋ジャンクションが開通しました。
しかし、これで工事が終わったわけではありません。
これからは街づくり。
いよいよジャンクション、出来ましたので……屋上の目黒天空の庭という公園ですね。 再開発は、平成24年度に出来上がるんですね。
それにあわせて公園も、グリーンジャンクションを作るということで、最終的な実施設計を進めています。それからもうひとつ、実は換気所の上もですね、緑化をするという形で、単に緑化すると面白くないんじゃないかなということで、換気所の上を、目黒の原風景を再現したらどうかと。
かつての風景を織り込んだ 新しい風景が生まれようとしています。
道と道をつなぐ場所は、人と人をつなぐ場所。
そしてそこは、なつかしい風と新しい風がすれちがう場所でもありました。
首都高速、大橋ジャンクションのHidden Story。
大橋建設事務所 佐伯所長のお話を元に構成しました。
巨大なジャンクションかと思いきや、あれでも、非常にコンパクト、
なんですね……
そして、再来年には、屋上に庭園ができるんですか。
街作りと一体となったジャンクションは「世界でも類を見ない取り組み」というお話でした。
工事にたずさわるみなさん、完成の日を楽しみにしています!