徳島県と兵庫県の淡路島とのあいだの鳴門海峡、そこを結ぶ大鳴門橋を望んで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。蒸し暑い朝はさっぱりしたものにしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
鳴門海峡といえば、なんといっても「うずしお」が有名です。
干満の差の関係で、瀬戸内海との狭い海峡を、最大時速20kmものスピードで海水が通り抜けてできるのが「うずしお」です。
鳴門という地名もこの「うずしお」の潮騒が「鳴る」、「瀬戸」が語源といわれています。
さて関東と関西の食習慣の違いは多いのですが、梅雨時における関西ならではの食べ物といえば、「ハモ」でしょう。その消費量は関東の10倍。京都の祇園祭、大阪の天神祭といった祭事では好んで食されることから、まさに初夏の風物詩といえるこの魚。形はウナギに似ていて細長く、身に硬い小骨が非常に多く「骨切り」という、特殊な包丁を使った下処理が必要となります。そしてその切り身をさっと熱湯に通すと、身の側が反り返って白い花のように開きます。これを湯引きといって、そのまま梅肉やからし酢味噌を添えて食べるほか、吸い物、寿司、天ぷら、蒲焼などさまざまな料理に使います。しかし朝ご飯にかぎっていえば、残り物ともいえる細かく切ったハモの皮を、薄切りのキュウリやワカメなどと酢で和えたものが、小鉢に入った酢の物として食卓に並びます。蒸し暑い一日のスタートにさっぱりとした一品で目覚めの喝を入れましょう。
今朝は徳島県の、「ハモ」でした。
紀伊水道で「梅雨の雨水を飲んでおいしくなる」などと関西では俗に言われます。
「魚偏に豊」と書くだけあってグルメ垂涎の的。関東では高級料理なのですが、関西ではデパートの地下やスーパーにも湯引きしたハモの身や、蒲焼きなどが並びます。