「太陽の高速道路」という名のアウトストラーダ・デル・ソーレ。並走するフレッチャ・ロッサを横目に、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。今朝は甘くない朝食にしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
「太陽の高速道路」という別名があるミラノからナポリまでのアウトストラーダA1。その中でもミラノからボローニャの区間はほぼ一直線で、最高速度は時速130km。倍の早さでその道路のすぐ横を駆け抜けるのがイタリアの新幹線、「赤い矢」という意味のフレッチャ・ロッサです。ずっと平野が続くこの地方の名産品は、パルマの生ハムと、パルミジャーノ・レッジャーノのチーズ、そしてモデナのバルサミコ、と日本でもおなじみの食材です。
イタリアの朝食はだいたい甘いパンとカプチーノなどミルクを使ったコーヒーというのが一般的です。しかし畜産物の加工品が多いのがエミリア・ロマーニャ州。いきおい食事も脂っこいものが中心となりがちです。だからというワケでもないでしょうが、この地方でパン代わりに食べられているのが「ピアディーナ」。
小麦粉にラードや水、塩を練り込み薄く焼き上げた無発酵のパンで、クレープや、薄い生地のピッツァのようなものです。スーパーには冷凍モノも売っていて、中にはキティちゃんの袋入りもあるんです。
子どもから大人までに親しまれているパンで、そのまま食べたり、肉や魚をはさんでみたり、野菜を使ってサラダ仕立てにしたり……
香ばしい小麦の香りを噛みしめます。
プロシュット・ディ・パルマといえば、高級生ハムで有名ですがその何倍もの値段で取引されるクラテッロをご存知でしょうか。
パルマから北にクルマで30分ほどの小さなジベッロ村。
偉大なるオペラの作曲家、ヴェルディの生まれたこのあたりは、「生ハムの王様」の保護指定原産地。豚モモ肉の中で最も軟らかいお尻の部分を塩、香辛料、ワインに漬け込み、豚の膀胱に詰め込んで2年あまり熟成させたものです。まさに「幻の生ハム」。
村に2軒しかない肉屋さんで、スライスしてもらったばかりのクラテッロを「ピアディーナ」にのせていただきましょう。
今朝はエミリア・ロマーニャ州の、「ピアディーナ」に「クラテッロ・ディ・ジベッロ」乗せていただきました。
高級ブランド和牛にも劣らないお値段のクラテッロ。
ホンモノは後味にほのかに香る、魚の干物にも似たうま味成分、これがポイントです。イタリア料理が日本人にとってなじみがあるのは、このアミノ酸の成分のおかげかも知れません。