今週は、FIFA ワールドカップ ベスト8の戦いを目前に控えたサッカー アルゼンチン代表。
リオネル・メッシ選手のオフィシャル・ブログを手がける日本人、今井健策さんのHidden Story。
アルゼンチン代表の中心プレーヤー、リオネル・メッシ。
彼のオフィシャル・ブログ……最初に開設されたのは日本語版でした。
手がけるのは、東京にある会社、ファンルーツの今井健策さんです。
なぜ、日本人の今井さんが、メッシのブログを手がけることになったのか?
その理由を知るためには、少し時を遡らなければなりません。
1990年代後半、今井さんは高校卒業後、アメリカのカレッジへ進学。
サッカー部に入ったときにですね、ロサンゼルスにいたので、ヒスパニック系。 メキシコだったり中南米の方が多くて、チームメイトがみんなそういう選手だったんです。
サッカー部の公用語はスペイン語だったんです。 それで必然的にスペイン語を覚えるようになり、学校でもスペイン語のクラスをとるようになり、アルゼンチンはスペイン語なんで。
その大学のときに、バックパッカーで南米を旅したんですよ、バスで。 アルゼンチンも行きまして、すごく気に入って、もちろんマラドーナも好きだったし、ここに住んだらおもしろそうだなと思って、大学終わったあと南米に行きました。
その南米に旅行に行ったときに「自分のやりたいことは何なのかな」と。 「やっぱりサッカーに携わっていたいな」と思ったときに、アルゼンチンという国と出会えたと。
「アルゼンチンという国に出会えた」
サッカーを愛する気持ちに導かれ、今井さんは南米アルゼンチンへ。
ブエノスアイレスでサッカーのコーチになるための学校に通いながら、子どもたちのサッカーチームに関わる。 そんな日々が始まりました。
私がそこで一番何を学んだかと言いますと、サッカーを好きだという人が集まってできる雑談だとか、そういうのが大きくて、例えばアルゼンチンというのは裕福じゃないんですよ、みんな。 でもそのコースを受けるには1ヶ月に200ドルくらい払わなければいけなくて、当時の彼らの月給が5万とか7万とかなので、正直大きな金額なんですよね。
奥さんに、「俺はサッカーのコーチになるんだ、だから200ドルは使うんだ」とそういう熱い人間が集まってたんで、目指すものも高かったし……練習でもそうなんですよね。
私が向こうでお世話になっていたチームがあって……普通のチームなんですけど、モノが足りないんですよ。 子どもたちが100人いたらボールが20個しかない。子どもたちは自分のボールを持っているんですが、ボロボロで練習に適してない。 日本と一番違うのは、ボールへの執着心というんですかね、ボールの数が少ないというのもあるんですけど、子どもたち、ボールの取り合いなんですよ。 「自分でボールを取りにいかなければ絶対ボールを触れない」という状況が練習前からあるんですね。 自分が持っているボールを取られないようにドリブルで逃げるわけですよ、練習前ですよ。
これが強さのひとつの秘訣だと思いましたね。
アルゼンチンでは、もうひとつ大きな出会いがありました。
サッカー関連のテレビ番組で 司会として活躍していたラミーロ・サンチェスさん。
彼がメインで持っていた番組が……アルゼンチンって、焼き肉がすごい文化としてあって、アサードっていうんですけど、週末にみんなで集まって、バーベキューですね、牛肉の固まりを焼くんですが、そのアサードをしながら、サッカー選手にインタビューする番組なんですね。
今、アルゼンチン代表のカルロス・テベス。 彼が最初にインタビューを受けたのがその番組だったんですね。
メッシ選手のインタビューを行う際には 必ず仲介をしてくれていたラミーロ・サンチェスさん。
そして、たびたびメッシ選手の取材に立ち会うなかで、ブログの話が持ち上がったのです。
サッカー アルゼンチン代表、リオネル・メッシ選手のオフィシャル・ブログ。 最初に開設されたのは、日本語版でした。
アルゼンチンのサッカー選手から 信頼されるラミーロ・サンチェスさん。 そしてメッシ選手の父親との関係のなかで、東京の会社 ファンルーツの今井健策さんが、ブログ開設に動きました。
やっぱり、財団主導、メッシ財団のためのブログだというお父さんの話もあったので、財団に多少なりとも協賛金の入るような運営でやってみようという話がありまして、まずは、日本の企業にお話をして「メッシのブログに協賛していただけませんか」と。
幼い頃、成長ホルモンの異常で 成長が遅れる病気と診断されたリオネル・メッシ。
彼は今、「メッシ財団」を通じて、難病と戦う子どもたちなど、困難な状況にある子どもたちを応援する活動を行っています。
ブログは、その財団による社会貢献活動にもつながっているのです。
子どもが好き、というのもあると思うんですが、自分がたとえ同じ病気じゃなくてもそういう環境にいる子どもたちに何かできないかと。 そういうときに自分の存在が力になれば、ということで、彼はそういう活動をしています。
リオネル・メッシ選手の日本語版オフィシャル・ブログを立ち上げた株式会社ファンルーツの今井健策さん。
メッシに関わる取材も数多く担当されてきた今井さんはこんな話もしてくれました。
「彼のプレースタイルの原点は、少年時代にある」
彼は兄弟が上にいるんで、妹もいるんですけど、お兄ちゃんがふたりいるんですよ、お兄ちゃんと混ざってサッカーをやる時間がいっぱいあったんですね。
お兄ちゃんの友達がいたら、みんな年上じゃないですか。そういう年上でも臆することないというか怖がらずにどんどんボールを取りにいく。
お兄ちゃんたちもうまくメッシのそういう性格も分かながら一緒にサッカーをやらせていた、混ぜてたというところもあると思うんで。 本当にサッカーボールが大好きで、相手が上だろうが大きくても果敢に向かって行く。 それは今のプレースタイルと同じですけど。彼が少年時代にプレーしていたクラブのコーチとか友人に話を聞いたことがありますが、今のプレーと、7歳8歳のころのプレーと同じだと。
大きい相手に向かって行く姿勢とか、ドリブルの仕方とか全く同じだと言ってましたね(笑)
リオネル・メッシ 23歳。
南アフリカの地でドリブルをする背番号10にアルゼンチンの街の片隅を走る 少年の姿が重なります。