富士山山頂と変わらない海抜3,700m、忽然と現れたどこまでも続く真っ白な平原にたたずんで、彼女は大きく深呼吸。
そして心に決めました。 今朝はしっかりとした朝食にしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
南米の内陸国ボリビア。
ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、チリに囲まれていて、6,000m級の高い山がいくつもそびえます。 憲法における首都はスクレですが、アンデス山脈のふもとのラパスが政治経済の中心地。 ふもとと言っても海抜3,000mから4,000mという高地ですから酸素が薄く、慣れない旅行者にとっては高山病のおそれがあるところです。
そんなロケーションに広がるウユニ塩原。 南北が100km、東西が250kmという広大な塩の平原で、まるで雪が積もったように見える場所です。 もともと海だったところが海水ごと隆起したことによって、湖になったという場所。 乾燥した気候と川がない事で、7月からはじまる乾期になると自動車が通ることもできる平野です。
その中心には塩を固めて建設されたホテルがあり、寒い朝に四方を見渡すと、雪原のような真っ白な風景が眺められます。 周辺の住民は、その塩を製塩して、国内外に売ることで生計を得ています。 ところが近年、全世界に埋蔵されているリチウムの50%以上がこの塩原の地下で確認され、注目されています。
アンデス山脈はトマトの原種の産地でもあるため、世界中で食べるトマトとはまた違ったみずみずしさを堪能できます。 そして国民食は「サルテーニャ」。 小麦粉に鶏の卵、砂糖とラードを混ぜた黄色い生地に、牛肉または鶏肉、タマネギ、ジャガイモ、オリーブの実、ゆで卵を刻んだ具を詰めて焼いた大きな餃子のようなものです。 香辛料を入れて茹で、いわば肉ジャガのような具が、かぶりつくとパイのような生地からあふれ出てくるのです。
この「サルテーニャ」は「焼き小籠包」といえるかも知れません。 街のあちこちのスタンドで売られていますが、お昼頃までに売り切れてしまうという人気の朝食です。
アンデス山脈周辺ではハーブティーをマテと呼びますが、特にボリビアで一番ポピュラーなのはコカの葉を使った、「マテ・デ・コパ」。 建物の階段はゆっくり上がって、一息ついたら飲むのが、生活の知恵なんです。
今朝はボリビアのアンデス山脈のふもとで食べる、「サルテーニャ」でした。第2次世界大戦後すぐから沖縄出身者が開拓のために移住したのがボリビア。
現地における農業近代化に貢献し、経済にも大きな影響力を持っています。