2010/7/16 富山県 入善

富山県の東側、日本海に面する小さな町、入善。
黒部川の河口にたたずんで、彼女は大きく深呼吸。

そして心に決めました。 今朝はおにぎりにしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。

今週は日本、富山からです!!

富山湾は、最も深い場所が1,000m以上あるという、日本でも最も深い湾の一つです。 陸地からすぐ急に深くなり、300メートルよりも深いに場所は、太陽の光が届かないため、夏でも水温が1度程度という低温の「日本海固有水」が存在します。 これがいわゆる「海洋深層水」。 富山湾の容積のおよそ6割を占めています。
カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分を含んでいるため、もちろん漁業は盛んです。 そしてこの「海洋深層水」を使って、全国で初めてアワビの養殖をはじめたのが地元の漁業協同組合。
ここ数年で量産に成功し、今月2日からスタートした夏場限定の「深層水浜焼き屋」で食べる事が出来ます。

富山は昆布の消費量が日本一

古くから、関西と北海道を日本海経由で行き来していた貿易船「北前船」の中継基地だった富山には、北海道の特産品の昆布が、豊富な魚介類の保存のために使われました。
高級な羅臼昆布が獲れる知床半島の住民の祖先の半数は富山県出身者だとも言われています。 船を使った国内の交易が盛んだった時代の名残が、ここのあるのでしょうね。
今でも富山湾の名産品である「白エビ」をはじめ、さまざまな魚を昆布締めにしたものが、郷土料理といえるでしょう。
刺身を昆布ではさんでしばらく置いたもので、刺身と同じくわさび醤油でいただきます。 昆布に水分を吸われて刺し身が締まり、逆に昆布が持つグルタミン酸などの旨味成分が刺身に移ることで、活きのいい刺し身とはまた違った深い味わいとなります。

江戸時代は沖縄から中国にも輸出された昆布

もちろん昆布締めだけでなく、昆布を使った料理はさまざまで富山県民の日常生活に浸透しています。
沖縄の伝統料理にも昆布は使われていますが、「お祝いの席に使うごちそう」という背景があるのに比べて、富山ではダシ昆布からとろろ昆布まで料理におけるバリエーションは豊富です。
朝食でのおにぎりは富山では海苔ではなく、色の黒いとろろ昆布で巻いたものが一般的。
しっとり湿ったものと、パリパリしたのとどちらがお好みですか。

今朝は富山県の昆布でした。
おにぎりといえば、具の部分にこんぶが入っているというのは非常にポピュラーなんですが、海苔の替わりに昆布。 これがコンビニなどでも沢山ある場所は、古くからの昆布の流通に重要な役割を演じた日本海側の都市が中心ということです。