2010/7/16 若きなでしこ永里優季選手の情熱物語

今週は、サッカー日本女子代表、なでしこジャパンの永里優季選手。
ドイツ、女子ブンデスリーガのポツダムで活躍する、若きなでしこの情熱物語。

日本時間 2010年5月21日金曜日早朝。
男子の日本代表Samurai Blueがワールドカップへ向けて国内合宿をスタートさせたその日の朝、スペイン、ヘタフェでは、日本人のサッカー選手がヨーロッパの頂点に立とうとしていました。
永里優季選手が、UEFA女子チャンピオンズ・リーグ決勝、ヨーロッパ・チャンピオンを決める戦いを繰り広げていたのです。

決勝の雰囲気ですか。
すごくよくて、スタジアムはほぼ満席で。 1万5千くらいしか入らないんですけど……なんて言うんですかね、普通の日本でやってたときは1万5千も入ることないじゃないですか、女子のなかで。 その中でプレーできるのはすごく幸せだったし……すごい楽しかったです。

永里優季選手、23歳。
彼女がドイツでプレーすることを選んだきっかけ、それは、2008年の北京オリンピックにありました。

準決勝、対アメリカだったんですけど、いいとこまでいくんですけど、最後やっぱり、アメリカの身体能力とフィジカルの差におされて結局負けて。3位決定戦もドイツ。
最後また同じような形で負けて、そこであらためて、まだまだ世界との小さいようで大きな差を感じて、このまま日本でやっていても世界との差は縮められないと思って……
で、ヨーロッパに行きたくて、ヨーロッパで強い国といったらドイツだったんで、ドイツのチームで探してもらって。
ポジション争いも激しいですし、強豪ですけど、試合に出られる可能性も低くなるとは思ったんですけど、やっぱり高いレベルでもまれて競争し合って自分を高めたほうが自分のためにもなるなと思って、ポツダムを選びました。

試合に出られないかもしれない。 しかし、あえて選んだのはドイツの強豪、ポツダムでした。
今年1月に入団。 公式戦デビューは、2月のリーグ戦 アウェイマッチでした。

そして、2戦目は……

次の試合がチャンピオンズリーグの準々決勝だったんですね。
それがホームゲームで、ホーム初戦です。
ホームゲームが一番大切なんですね、アウェイより。
向こうの人は「ゴールという目に見える結果」をすごく評価してくれるんで、なんで、そのホームゲームの最初の試合でゴールを決められたというのが、いいスタートをきれたなというのを感じました。

幸先のいいスタートを切った永里優季選手。
チームも勝ち進みます。

ヨーロッパ女子サッカーのクラブチームNo1を決める試合、UEFA女子チャンピオンズリーグ決勝の日が近づいてきました。

ヨーロッパ・チャンピオンをかけたUEFA女子チャンピオンズリーグFinal。
現地時間5月20日木曜日夜。 舞台は、スペイン、ヘタフェのコリセウム・アルフォンソ・ペレス。
永里優季選手の所属するドイツのポツダムは、優勝をかけてフランスのリヨンと対戦しました。

前半、ベンチから見ていたんですけど、相手のリヨン、すごくいいサッカーをしていて。
うちらのチームも、緊張しているのか、いつもと全然違うプレーをするんですよ、みんな。 らしくないプレーの連発で。 攻められないし、ピンチも多くて。
で、後半、アップを始めるじゃないですか。 「早く出せ」という感じで、ベンチの前で監督をすごく見て(笑)アピールしたりするんですけどなかなか出してくれなくて。
やっと後半20分くらいですかね、ようやく出してくれて。 そこからはもう嬉しくてしょうがなくてピッチに立てたことが。 楽しむしかないなと思ってやってたんですけど……
ゴールチャンスが一回だけあったんですよ。 それを外してしまって……それが痛かったなとは思ったんですけど。

試合は、1万5千人の観客が、息をのむ展開となります。
延長でも決着がつかず、勝負はPK戦に。
5人蹴り終わって、3対3。
ここからは、サドンデス。 どちらかが外したらそこで終わりです。

サドンデスになって……監督は5人目までしかキッカーを決めてなかったんですよ。 で、6人目になって、キャプテンが「誰が蹴る?」ってなったんですけど、みんなびびっちゃって誰も行こうとしないんですよ。 これはチャンスだと思って……もともとPK蹴りたいんですよ。 5人のなかに指名されなくてちょっと悔しかったんで、6人目絶対行ってやろうと思っていて「じゃ自分が蹴る!」って蹴りに行って。
あんなプレッシャーの中でできることってないじゃないですか。 チャンピオンズリーグの決勝、負けたら終わるかもしれない。 サドンデスなんでね、6人目。 こんなこと、これからないかもしれないし、これは経験したほうがいいなと思いまして。

PK戦、サドンデスの最初のキッカー、永里優季選手。
ボールを置いて助走に入りました。

外すイメージは全くなかったんで、PKって、技術ではなく気持ちだと思ってるんですね、自分の中では。
どれだけ強い気持ちで蹴れるかだと思っているんで。

ゴール左、ボールが突き刺さりました。
最終的にPK戦7対6で、ポツダムが優勝!
永里選手の強い気持ちが引き寄せた、ヨーロッパ・チャンピオンでした。

若きなでしこ、永里優季選手。
最後に、フォワードが好きな理由、そしてヨーロッパの強豪チームで戦う理由を語ってくれました。

一番プレシャーがかかるポジションじゃないですか。 そのなかでやれるのがすごく幸せです。
ギリギリのところに立たないと成長できないと思うんですよ。

中途半端な気持ちの持ち方とか位置にいても。
サッカー選手としても含めて、人として成長したいです、ギリギリのところに立って。
それがもう幸せなんですよね。

» 永里優季オフィシャルブログ