福島県須賀川市。中心部を流れる阿武隈川のほとりで、朝から照りつける太陽に向かって、彼女は大きく深呼吸。
そして心に決めました。 今朝は井戸水で冷やした朝食にしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
福島県のほぼ中央に位置する須賀川市。西に那須連峰、東に阿武隈高地の山並みを望み、市内中心部を阿武隈川がゆったりと流れる、自然環境に恵まれた街です。
旧石器時代の遺跡をはじめ、奈良・平安時代を代表する史跡もあり、東北地方の要所として古くから栄えていました。
江戸時代は、奥州街道屈指の宿場町として栄え、松尾芭蕉が「奥の細道」の旅で8日間も滞在したほど有名な場所でした。
平成の今も、東北道のインターチェンジや、そして福島空港があり、交通の要所であることは変わりません。
ハウスものと呼ばれる、ビニールハウスで栽培される野菜が一年中出回る今の世の中、キュウリの旬といってもピンとこないかも知れません。 しかし本当に美味しいキュウリは、この時期からの露地ものでしょう。 福島県は夏秋キュウリの生産量が日本一。
県内でも、須賀川市はキュウリの一大生産地です。あちこちにあるキュウリ畑のなかに入って、手を伸ばせば……
キュウリは、実も、葉っぱも、茎もトゲだらけで長袖でなくてはちょっと痛い想いをしてしまいます。 ヘタの部分をひねって実をもいだ切り口から、水がしたたり落ちてきます。
カンカン照りの今朝のような日でも、もぎたてはジューシー。 青臭さはありません。 そして露地もののポイントは「ブルーム」という白い粉が表面についている事。農薬と見間違えるということで、昨今は品種改良で緑色の濃いツヤツヤしたものが主流です。
しかし「ブルーム」はキュウリの実の水分が蒸発するのを防ぐ役割をしているので、みずみずしさはこちらのほうが格段に上です。
朝ご飯には、サラダ、つけもの、おみそ汁の具として入れる。 いろいろな食べ方がありますが、寝苦しくて汗をかいた朝には、取れたてのキュウリを井戸水で冷やしたものを、生でかじるのが一番かもしれません。 酵素と水分がいっぱいの生野菜のキュウリは何よりのごちそうです。
新鮮なきゅうりを香味野菜で香り付けして、良質な塩と植物油で炒め、仕上げはごま油というシンプルな調理法もまたオススメです。
体温を下げる効果があり、利尿作用もある「きゅうり」。
おいしいからといって、冷房で冷えた状態の身体で、たくさん食べると逆効果になりますからご用心。