2010/12/31 羽田空港新国際線ターミナル

今週は、この年末年始に利用される方も多いでしょう。
2010年10月にオープンしました。 羽田空港新国際線ターミナルの誕生秘話。

今年の10月、羽田空港の新国際線ターミナルがオープン。 羽田で、東京と世界が再びダイレクトにつながることになったのです。
そして、このターミナル。商業施設は江戸の街並をイメージしていたり、世界でも例を見ない プラネタリウムが設けられたりと、新しい仕掛けが施されています。そのアイディアはどの様に生まれたのか?
東京国際空港ターミナル株式会社、企画部長の平井洋一さんに伺いました。

ひとつは、東京に32年ぶりに国際線が戻ってくるときに、東京をどういう風にアピールしようかというのがありまして、それは最終的に、東京を過去から現在、未来につながる時間軸のなかで作り上げていこうというのがひとつのコンセプトですね。江戸の街並というのは過去なんですが、現在から未来ということで、宇宙というのも、現在から未来の象徴としてイメージできるんじゃないだろうかと。で、東京というのは非常に高い建物が多くて空を見上げる場所というのはなかなかないんですが、空港というのは飛行機が飛びますから、高い建物は管制塔しか建てられないということで、東京にいながらにして空がよく見えるんです。でも、街の明かりもありますし、都会ですので、なかなか星はよく見えない。「じゃあ、せっかく空があるんだから、空に星が見えるようにしたらいいんじゃないか」という。そこから出てきたアイディアですね。

魅力的な商業施設の数々。
しかし、魅力的であるがゆえ、しっかりとした配慮が必要なことがありました。

商業施設を魅力的にしようというのはあったんですが、これは逆に言うと、空港ターミナル機能としては、プラスアルファの部分で、やはり航空旅客が基本的に使いやすいターミナルを作らないと本末転倒になってしまうので、そういう意味において、たくさん飛行機に乗らないお客様がいらっしゃるというのは、ビル会社としては嬉しいんですが、航空旅客にとっては空港ターミナル機能としての目的を阻害する要因にもなるんですね。そこで、動線はなるべく混在しないようにしようということで、例えば、3階の出発階の入ったところに正面にエスカレーターが手前にありまして、すぐ4階に上がれるようになっているんですが、これは当初は奥にあったんですが、奥にあると航空旅客と見学者がいっしょになってしまってカウンターの前がかなり混雑してしまうので、もう早い段階で4階にあがる動線は確保して、見学者や一般の方は上の階に早めに誘導して、チェックインする方や飛行機を使う方は3階のその場所を確保しようと。

とにかく、飛行機を利用する方が使いやすいターミナルにする。
そのためのアイディアは 幾重にも織り込まれています。

羽田空港の新国際線ターミナル。
駅からチェックイン・カウンターまでの距離がとても近いことも大きな特徴のひとつです。

最短動線で目的地まで着けると。モノレールの駅、京急さんの駅から非常に近くて、着いてすぐにカウンターに着ける。そのあとカウンターから先、出国審査場に入って、最終的な搭乗口までの距離も非常に短くなっています。また、階層の移動がないようにですね、出発階は3階をそのまままっすぐ進んで行く。到着階は着いたら2階をそのまま出て行けば、そのまま駅の改札まで入れるということでですね、フラットに行けるようになっていますね。

モノレールの駅からチェックイン・カウンターまでが1分。
カウンターから出国審査場までも1分。
最も近い搭乗ゲートなら、そこから、これまた1分で辿り着くことができます。
さらに、チェックイン・カウンターには航空会社からの提案でこんな工夫が。

例えば他の空港で言うと、荷物をチェックインで預けるところで、どうしても測りのところに段差があってですね、重い荷物をよいしょと持ち上げなければならないんですが、そこをバリアフリーを徹底させようということで、ほとんど段差のないものを作ったんですね。これはなぜ段差が出るかというと、床の上に計量器を置くので段差ができる。それなら下をくりぬいて下に計量器を置けば平らになるねということで、これは多分あまり世界でも例がない、日本ではもちろん初めてなんですが、段差のない荷物をのせるコンベアを導入しました。

暑かった夏がようやく終わりをつげ、オープンの日が近づく頃。
東京国際空港ターミナル株式会社の平井洋一さんには、少し心配していたことがありました。

今回このターミナルのもうひとつの特徴が、システムの作り込みをターミナル会社がやったということがあるんですね。ほんとにそれがちゃんと動くかどうか。もしこれが何か問題があると1社だけじゃなくて全部の会社がダウンしてしまうと。21日1便も飛行機が飛ばない、ということも理論上がありうる。これはちゃんと動くかどうかというのは最後までドキドキしました。

2010年10月21日、羽田空港新国際線ターミナル、開業。
さまざまなアイディアを散りばめた東京の新しい玄関が誕生したのです。