2011/1/7 世界の消防士事情

新春恒例の東京消防出初式。
このイベントの起源は、1657年に発生した振袖火事とも呼ばれる明暦の大火の復興の最中に火消し隊が気勢をあげたという由緒正しいもの。消防士さんへの信頼が、今なお続いているということなのですが、世界での消防士さんはどんなポジションなのでしょうか。今朝も2カ国をコネクトしてお送りします。

 

まず、出初式のような消防士さんのイベントはあるのでしょうか?

アメリカ、ニューヨーク。中村英雄さん
「3月17日のセント・パトリック・デイのパレードでしょう。」

フランス、パリ。ドゥヴィアンヌ・園子さん
「7月14日のパリ祭のパレードとその前夜祭が人気です」

 

セント・パトリック・デイ。どんなパレードなのでしょうか?

アメリカ、ニューヨーク。中村英雄さん

アイルランドの民族楽器バグパイプの伴奏で世界の目抜き通り「五番街」を何十ブロックにもわたって堂々行進するのが消防士の晴れ姿。一般市民が大勢の消防士の誇らしげな姿を見られる機会、というとやはりセントパトリック・デイでしょう。この記念日は全米で祝われます。消防士映画として必見の「バックドラフト」でも出てきたと思います。ハリソン・フォード主演「逃亡者」のクライマックスもシカゴのセントパトリック・デイでした。

やはり消防士さんにたいする信頼は絶大なのでしょうか?

NY消防庁は市の傘下にあり、構成員は、消防関係約11,000人。救急隊員約3,300人といわれており、これは大都市の消防組織としては東京に次いで世界第二位だそうです。

街のあちこちに消防署があり、消防士は未就学男児の「なりたい職業」ナンバーワンです。
消防士はほとんど男性で、消防署では寝泊まり、煮炊きをともにする共同生活を行い、独特の人間関係を作っています。民族的にはアイルランド系が多く、これは南北戦争以来の伝統です。アイリッシュは、勇猛果敢で社会貢献意識が高く、だからパレードはアイルランド風のバグパイプの伴奏となるようです。

 

パリ祭を中心とした2日間はどういうことをするのでしょうか?

フランス、パリ。ドゥヴィアンヌ・園子さん

パリ祭の軍隊パレードに必ず参加するのと、パリ祭の前夜祭の野外ダンスパーティーが消防署で行われるのがパリ祭の庶民的行事で大人気です。 このパーティー券を消防士自身が売り歩きます。
前夜祭の時には、ダンスパーティーに参加したい一般人、特に女性たちが長い列を作ります。この風物は伝統的で未だに人気があるので驚きます。

フランス語で消防士さんはどんな存在ですか?

フランスの消防士は皆鍛えられた逞しい体でカッコイイ。
少年の憧れでもあります。フランスでは軍隊と同じ資格で、火事だけでなく、緊急救助に駆け付けるのも、たいてい消防士です。私のパリのアパルトマンのすぐそばに、立派な消防署があってたくさんの消防士が住み込みで詰めています。