2011/1/14 イザ!カエルキャラバン!

2011年1月12日で2010年ハイチ地震から1年。
また、2011年1月15日からは「防災とボランティア週間」ということで、今週は、大きな広がりを見せている防災プログラム『イザ!カエルキャラバン!』に注目します。
それはどんなプログラムなのか?そして、そこに込められた想いとは?

楽しく防災を学ぶプログラム、『イザ!カエルキャラバン!』。
はじまりは、阪神淡路大震災から10年が経過した2005年のこと。 永田宏和さんのもとに、ひとつの依頼が寄せられました。

そもそも最初に頼まれたのが、防災を頼まれたわけではなくて、楽しい子どもたちのイベント、もう少し具体的に言うと、かえっこバザールという、いらなくなったおもちゃを持って来てお店屋さんごっこをするようなプログラムがあるんですが、これは藤浩志というアーティストがやっているプログラムなんですが、これを神戸市で10カ所くらいでやってくれないかということで開発が始まりました。

もともと、アーティストの藤浩志さんが行っていた「かえっこバザール」というプログラムがありました。
子どもたちが、不要になったおもちゃを持ち寄って、互いに「かえっこ(=交換)」する。 そのプログラムに「防災」の要素をプラスしたのが『イザ!カエルキャラバン!』です。

防災の智恵とか、被災者の方からヒアリングをしました。167人の方にヒアリングをしたんですけども、そうすると、いろいろ子どもたちに伝えたいなという防災の教訓とか技が浮かび上がって来て、それをどう伝えるかと思うんですが、なんかこう教室で大上段に構えて「こういうことが大事だよ」としゃべっても子どもたちは聞いてくれないと思うんですよね。 でも、それをプログラムにするというか、楽しく学べるクイズだとかゲームだとかにどんどん編集していって、それが、かえっこバザールの体験コーナーと相性がよかったんですね。 体験コーナーが子どもたちが学べる楽しいプログラムにどんどんすり替わっていった。しかも、かえっこバザールにはカエルのキャラクターがいて、このカエルちゃんを防災プログラムに忍ばせるというか、演出に使えたことでプログラムがどんどん楽しくなっていったわけですね。

2005年4月28日、最初の「イザ!カエルキャラバン!」が兵庫県神戸市で開かれました。 続いて、この年だけで、神戸市内の7カ所で開催。 1万人が参加しました。
そこで伝えられている防災の智恵、例えば……

ひとつは、家具。
やっぱりほとんどの方亡くなっている、ケガをされている原因というのは、家が壊れたか家具が倒れたかどっちかなんですね。 で、家が倒れるのを防ぐというのは工務店さんとか工事業者さんでしかできないんですが、家具の転倒というのは個人の努力でできますので、ミニチュアの家具のセットを作ってですね、その前に布団が敷いてあってカエルが寝ているんですね。
普通に揺らすとバンと倒れてカエルがギャアと鳴くんですが、それを鳴かさないために、下に少しタンスを浮かせるようなものをはさみこむとか、上に突っ張り棒を入れるとか、L字型の留め具をつけるとか、そういうプログラムが開発されたり…というようなことをやっていますね。

その後、イザ!カエルキャラバン!は全国へ。
さらには世界へと広がっていくことになるのです。

おもちゃの「かえっこ(=交換)プログラム」に防災の要素を加えた『イザ!カエルキャラバン!』。神戸で始まった この防災プログラムは今、インドネシアでも行われています。

2007年からはインドネシアのジョグ・ジャカルタ。
これもカエルキャラバンのシステムを教えに行って、当時は大学の先生に伝えに行ったんですが、そこから現地のNGOにノウハウが伝わり、今は、現地の小学校の先生たちがカエルキャラバンを広げるためのコミュニティを作っていまして、月に4回くらいのペースで、指導者ですね、違う学校の先生に教えてその小学校でカエルキャラバンを開催する、というそのくらいのペースで広がっていますね。

これ、面白いんですけど、日本だとかえっこバザールがベースなので、おもちゃの交換「換える」から「カエル」ですよね。 でも向こうはもちろんインドネシア語ですから、だじゃれに意味がないんですよね。それで「子どもの人気のキャラクターに変更してもいいか?」という問い合わせがあって、実は今、鹿キャラバンに、子鹿キャラバンになっているんですよ(笑)

インドネシアでも、日本でも、子どもを中心としたプログラムを組んだことで、多くの「つながり」を生むことができました。

子どもだけではなかなか来ないので、親も引きずり出せるよというのもあるのと、もうひとつ、やっていて面白いのは、日本のコミュニティってだいぶ崩壊してきてると思うんですが、地域の防災なんですが、なんかね、お祭りみたいになるんですよ。

PTAが協力してくれたり、子ども会が協力してくれたり、ボーイスカウトが来たり、消防が来たり、警察が来たり、いろんな人たちがカエルキャラバンというプラットフォームに乗っかっていくイメージになっていまして、なんかこう、いろんな人たちが集まって地域を守るためにそういうプログラムを年に1回やるというのがもし定着すると、崩壊しているコミュニティも多いですから、そういうことを変えるきっかけに、カエルキャラバンがなれるんじゃないかなと思います。

NPO法人プラスアーツの永田宏和さんに、最後にうかがいました。
『イザ!カエルキャラバン!』で伝えたいこととは?

被災者の方にいろいろ聞いて思ったのは、一番重要なのは、臨機応変に対応する力とか、本当にそういうたくましさなんですよね。

でもこれって、家でゲームばっかりやってる状況では、何かを作り出すとか、その場で判断するとか、そういう力が落ちていってると思うんですよね。
ぜひこういうプログラムを通して、「本当の意味での生きていくたくましさというか、生きていく力を伝えていければいいな」と。 それは災害時だけじゃなくて、子どもたちが社会人になって頑張っていくためにも必要なことだと思いますので、使命感を持ってやっていきたいなと思っています。

防災を入口に、地域コミュニティの復活から 子どもの成長まで。
阪神淡路大震災から まもなく16年。
『イザ!カエルキャラバン!』の挑戦は続きます。

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