石川県加賀市の山代温泉、朝風呂の前に散歩を終えて、まだ雪が残る庭を眺めて、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。 ゆっくりとごちそうを食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
江戸時代に加賀藩の肝いりではじまった九谷焼。 今では金沢市をはじめ、石川県内のあちこちに窯元があります。 しかし、その歴史と年代物のやきものを展示する石川県九谷焼美術館や、江戸時代の九谷焼の窯元の跡地や資料館などの見どころは、加賀市に集中しています。 もちろん器を取りそろえて販売しているお店もたくさんあって、現地ならではの掘り出しものを見つけるのもひとつの楽しみです。
「加賀百万石」という言葉があるくらい豊かな風土のこの地方。
もともと豊かな地元の食材を中心に食文化は栄えました。江戸時代には日本海を行き交う「北前船」が立ち寄る場所として、全国の食材が融合して「加賀料理」が進歩しました。その中の一つ、地元でとれる塩漬けした魚の青カブラと「寒ブリ」の薄切りを、北海道産の昆布と共に米こうじで発酵させて作る「かぶらずし」。一種の漬物なのですが、代表的な冬の郷土料理です。さてキレイな色の器に乗せて、温かいご飯と一緒にいただきましょう。
お酒のつまみにもなりますが、乳酸菌がたっぷりでお腹が活性化する朝ごはんにはぴったりの一皿。カブラと鰤のかわりに大根とニシンを使った「大根ずし」というバリエーションもあります。ニシンもまた北海道産ですから、遠くから取り寄せる食材を使う豊かな食生活がうかがえます。