今週は、昨年のFIFAワールドカップでベスト16、今年のアジアカップでは優勝を果たしたサッカー日本代表。
Samurai Blueを食の面でサポートするシェフのHidden Story。
サッカー日本代表。チームが遠征をおこなう際、必ずチームよりも1日早く現地に入る人がいます。
西 芳照さん。
日本代表の胃袋を預かる料理人です。
試合に同行するようになったのは、2004年のこと。
オリンピック代表が中東に行ったときに体調を崩しまして、試合が思うようにできなかったというのがありまして、サッカー協会から「これじゃダメだろう」と。 そのあとに代表の試合がありましたので、食事の面で、衛生と食事と両方を見る必要がある、ということで、Jヴィレッジで働いている私に声がかかったということです。
ドイツ・ワールドカップ予選、シンガポール戦を皮切りに、アウェイ・マッチへの帯同が始まります。
以来、敵地で開催される公式戦にはすべて同行。
もちろん、昨年、ワールドカップ直前の合宿が行われたスイス、さらに、南アフリカにも西さんの姿はありました。
スイスのときは、お魚を朝昼晩分持って行きましたし、南アフリカ用には一日一食分の魚。 主に夕食に出していたんですが、そのときは鉄分を多くとりたいということで、日本からひじきも持って行きましたけど。 普通のさんま、さば、シャケ、銀ダラですとか赤魚ですとかシシャモ、そういったお魚ですね。 スイス300キロ、南アフリカ300キロ。 魚ばかりじゃないですね、全部で、うどんとか持って行きますから。 試合前に食べる軽食でうどんとおにぎりを出しますので。
南アフリカでは、標高の高い場所での試合が組まれていました。
高地対策として、鉄分の多い食事がリクエストされていたのです。
そして、試合の3時間半前に、炭水化物としてうどんとおにぎり。
うどんの場合は、餅を入れないでくれとか、餅を2個入れてくれとか。 長友さんとかはよく餅の2個入りを食べますからね。 今回も、「勝利のうどんをください」とか言って、めちゃくちゃ食べてましたけど(笑)
監督がですね、「ベスト4まで行く」と言ってましたので、食材はベスト4の分まで用意しました。 ところがですね、若い選手が多かったものですから、ごはんが足りなくなったりとか、キムチが足りなくなったので、それは現地で調達し直しました。
結構、みなさん召し上がって足りなくなっちゃったと。
ワールドカップでベスト16進出、という輝かしい成績を残した日本代表。
次なる戦いの場は、カタールで開催されたアジアカップ。
ザッケローニ監督からの要望は……
魚をたくさんとるようにと。
オメガ3を多く含んだ魚、例えば、さんま、いわし、さば、青い魚ですね。 シャケなんかにも含まれていますけど。 そういうのを出すようにしてくださいとか。 それから、試合会場におにぎりを差し入れてくださいと。 試合を終わったあとにおにぎりを食べるということ。 その2点が今回初めて加わったことですが。
1ヶ月弱にも及ぶ大会期間。
西さんは、こんな工夫をしました。
「食事が飽きないように」ですね。 餃子を作ったりですとか。 50人いますから、200個くらいになるんですけど、豚肉を食べちゃいけない国ですから、牛肉の餃子を作ったり。
白身の魚とエビはいくらでもありましたから、それをミキサーにかけて、白身のダンゴにして日本風味の味にして出したりとか、そういう一手間かけるようなことはしましたね。
AFCアジアカップカタール2011。 日本優勝!
監督や選手も口々に「団結の勝利」と語りました。
西芳照シェフも、こんなエピソードを教えてくれました。
キャプテンの長谷部さんですが、今回たまたま僕の誕生日が1月23日で、長谷部さんが1月18か19だったと思うんですけども、朝昼晩、西さん大変だろうから、長谷部さんの誕生日のときにですね、海外ですと自分の誕生日のときにお金出してみんなをどこかに連れて行くみたいなんですね。 で、長谷部さんの誕生日のときに、長谷部さんが「西さん大変みたいなんで、みんなで外食しませんか?」と言ってくれて、全員で外食したということがありましたけど。
キャプテン長谷部誠選手の提案で、チーム全員で外食。
ピッチ、ベンチだけでなく、スタッフもUnite。
まさに、チームすべてがひとつに団結したことが呼んだ勝利でした。