南米のチリ、最南端の都市プンタアレーナス。
強い風の中、マゼラン海峡を臨んで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。 甘い朝ごはんで目を覚まそう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
南北に細長い国土をもつチリは、日本のほぼ倍の広さで、さまざまな風景が楽しめる国。プンタアレーナスの南はもうマゼラン海峡を隔てて南極大陸なので、南半球だから今は夏とはいえ涼しい気候です。パナマ運河ができるまでは大西洋と太平洋を結ぶ交通の要所として栄えましたが、今では氷河や滝、高原植物や野生動物が見られる地域「パタゴニア」へのベースとして観光客で賑わいます。市内にはマゼラン海峡を1520年に発見したポルトガル人、フェルナン・デ・マガリャンイスと先住民のパタゴンの像があります。また、子育てをするペンギンが集まる場所へ行くツアーも今の夏の時期に限られているので人気です。
チリの伝統のお菓子「マンハール・ブランコ」。
これは牛乳を煮詰めて、砂糖とシナモンやバニラで味を整えたもので、ドロリとしたペースト状のものです。
国境を接するアルゼンチンはじめ、ラテンアメリカ諸国で人気のドゥルセ・デ・レチェと呼ばれるミルク・キャンディーは、これが起源となっているともいわれています。この白いクリームを、丸くて平らなパンの「アユヤ」をふたつに開いてその間にはさみ、コーヒーとともにいただくのがチリの簡単な朝ごはんです。
それ以外には「マルタコナリーナ」という料理もあります。
これはアルコール分が入っていない黒ビールの泡の上に、ローストした小麦粉と砂糖を乗せてかき混ぜ、これを噛みしめつつ、食べるように飲みます。キャラメルのような香ばしさと、甘さが入り交じった独特の味。ある種、シリアルのような感覚でいただきましょう。
パタゴニアは夏の間に氷河が溶け、冬になるとまた氷に閉ざされます。氷河が山頂から流れ落ちてくるのを見るツアーは今が最盛期。
その氷河の氷で作ったオンザロックはまた格別だそうです。