オーストリア、音楽の都という異名を持つ、ウィーン。
郊外にある森の散歩道の中で、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。スープの朝ごはんにしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
クラシックが好きならば、一度は訪れたい街。
というのも市内には、ベートーベン、モーツァルト、ハイドン、ブラームス、ヨハン・シュトラウス、シューベルトなど音楽家の記念館や、ゆかりの建造物が点在します。
また、楽器の博物館、オペラハウスなどもありますが「Haus der Musik」という施設では、展示室だけではなく、ウィーン・フィルの指揮者を、バーチャル体験できるインタラクティヴな部屋があります。リズム感よく最後まで指揮が出来れば画面からは拍手が……しかし、あまりに下手だと途中で楽団が演奏をやめ、ブーイングが飛んでくるという一種のアトラクションです。
オーストリアの人々にとって、春の訪れを告げる食べ物といえば、シュパーゲルという白いアスパラガスです。4月のはじめから市場に並びはじめますが、5月と6月がベストシーズン。
街中のレストランでは日本料理や中華料理の店でもメニューに並ぶくらいどこにでも目にするこの時期だけの野菜。
日本で「白アスパラガス」というと、しんなりとしたイメージがありますが、こちらは歯ごたえたっぷりで、ほのかに甘味のあるもの。
ポイントは少量の水で、蒸すように茹でるということ。
シュパーゲルを茹でるための、専用の胴長鍋もあるくらいです。
一般的には茹でたシュパーゲルに、バターとレモンの果汁と卵の黄身で作ったオランデーズソースをかけてシンプルにいただきます。
そして朝には、ディナーでむいたシュパーゲルの皮とゆで汁をひと晩おいて、それに生クリームと卵などを足して味をととのえスープにしていただきましょう。
オーストリアだけでなく、ドイツやベルギー、オランダでも食べるのですが、いずれも6月24日のヨハネの祝日にシーズンは終わります。その後畑を休ませるために期日を区切っているとか。
昔からの習慣なのでしょうか……