何といっても今一番気になるのは、原子力発電に頼る電力事情。
FUKUSHIMAがきっかけとなって、世界でも意識が変わりはじめているようです。今日も2カ国をコネクトしてお送りします。
ドイツ、フライブルグ。村上敦さん
「23.5%でほぼ同じです」
アメリカ、ニューヨーク。中村英雄さん
「19.3%で日本よりも少ないです」
ドイツ、フライブルグ。村上敦さん
ドイツ政府は、2000年に電力事業者との協議の末、契約書を交わし、2002年には原子力法を改正する形で、すでに脱原発を決めています。
このときの脱原発期限は2021〜23年。しかしその後、2009年の総選挙で過半数を獲得した保保連立政権がこの原子力法を、2010年12月に改正。連立の相手のキリスト教民主同盟は、4大電力事業者からロビー政治家や多大な政治献金を受け付けている政党なので、脱原発期限の延長し、2035年前後に脱原発ということになりました。
そして6月9日、国会に政府は原子力法の改正を含む関連法案を提出し、議論がはじめられましたが、その脱原発期限は2022年、つまり元に戻したというのが正解です。
環境省が研究機関に依頼し、定期的に行っているアンケート調査や、国営放送ARDとZDFがそれぞれ行ったアンケート調査によると、もともと遅くとも2022年前後に脱原発という主張の国民が65%でした。
昨秋に脱原発期限を延長すると決まって、それは7割超に達しました。
同時に政府、首相の支持率は暴落。地方選挙は惨敗続きとなったところに今回の事故が起こりました。事故直後のアンケートでは2021年よりも早く可能な限り迅速に脱原発という人が60%、2021年には脱原発という人が20%で合計84%とその割合がさらに増えたといえます。
アメリカ、ニューヨーク。中村英雄さん
一般メディアに報じられている事故数週間後のアメリカ人の意識変化について、CBSの意識調査では、原発の新規建設を認めると回答したのは、2008年が57%だったものが、福島の事故後には43%に減りました。
原発推進の意識を少なからず「くじけさせた」という結果が出ていることは事実です。
スリーマイルやチェルノブイリでも同じ現象が起きましたが、結局は「のど元過ぎれば…」なのかも知れません。そして3人に2人は重大事故の不安を感じているものの、10人中7人は原発は「安全」と信じています。これは調査専門会社ギャラップのリサーチでも、10人中7人は米国内での原発事故の可能性について不安をいだいているものの、58%は原子力発電所の安全性を信じている、とほぼ同じような調査結果が出ています。結論としては「おおむね原発は怖い。でも今稼働している米国の原発は安全で、フクシマのような事故はまず起きないだろう」との考えだと思います。
一般的にはアメリカ人は物事の悪い面から目を背け、つねに未来とか新しい方向を語ろうとする傾向があります。
僕NY市は北方35マイルの地点に「インディアン・ポイント」という1974年操業開始の古い原子炉があり、NY市への電力供給の30%をまかなっているのですが、さしあたっての害がないから、みんな原発にどのくらい頼っているか知らないんじゃないか、と思うくらいです。
本当はいけないんだろうけど無関心。市内のある小学校では、有機農業や食の安全に意識の高い父兄が、原発反対の声明をPTA会報に載せている。頭ごなしに「原発は悪く、いますぐ代替エネルギーにかえるべし」と主張するが、フクシマの事故を「それみたことか」と自分たちの正当性を支持のために使ってるような印象もあり、被災し、避難している人たちや作業員たちへの同情があまりないように感じます。