三重県の伊勢市二見浦。海面から突き出た夫婦岩の真ん中。
海から登る朝日の先に遠く富士山を臨んで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。さっぱりした朝ごはんにしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
5つの主要な街道が整備された江戸時代には「お伊勢参り」として、庶民の旅行先として圧倒的な人気を誇った伊勢神宮。
今でも修学旅行をはじめとして、多くの観光客が訪れます。近くにある二見浦の夫婦岩は、縁結びのシンボルとしてカップルにも人気。そして伊勢湾に面して魚介類が豊富で、高級食材である「伊勢エビ」などでも有名です。
江戸時代からあった地元のうどんに「伊勢うどん」という名前がついたのは、今からおよそ40年ほど前のこと。
伊勢市の麺類飲食業組合が名前を統一したのだそうです。
特徴はまず極太の麺。讃岐うどんよりも、そしてきしめんよりも幅が広くて太さも太い麺は、普通のうどんの何倍もの時間、だいたい1時間くらい茹でるのが一般的。そこに濃くて黒い色のたまり醤油をタレとしてかけて、その上にネギなど、シンプルな具を少しだけのせてできあがりです。
黒いタレがからんでいかにもしょっぱそうなイメージがありますが、昆布やカツオなどで出汁をとったうえ、たまり醤油を使うことで、実は甘みがある「伊勢うどん」。
コシがなく柔らかいうどんの、一種独特の食感と味は、讃岐うどんや関西風のうどんに慣れた人にとってはかなり違和感があるかも知れません。
夏場は冷やしたうどんで、さっぱりといただきます。
つるりとお腹を満たしましょう。
伊勢神宮周辺にはたくさんのうどん屋さんが軒を連ね、それぞれ特徴のあるタレで、味を競います。