2011/7/29 フジロックの森のHidden Story

今週は、フジロック・フェスティバルが手がける環境プロジェクト「フジロックの森」のHidden Story。

新潟県にある苗場スキー場で、今年もいよいよ今日からスタート、フジロック・フェスティバル。
そもそもは、株式会社スマッシュの代表、日高正博さんがイギリスのグラストンベリー・フェスティバルにインスパイアされ「自然の中で音楽フェスティバルを開催したい!」そんな想いを込めて生まれました。自然との共生をひとつのテーマに掲げるフジロック。10年以上に渡ってこのフェスティバルの環境活動に関わる中島悠さんにお話を伺いました。

フジロックのなかでは、アシードジャパンを中心にごみゼロナビゲーションという活動をずっとやっていまして、イベント内の資源循環というのを意識して活動を行っています。お客さんに協力してもらってゴミの分別、リサイクルをナビゲーションしていくことだったりとか、例えば、入場ゲートで配布しているゴミ袋は前の年に集まったペットボトルをリサイクルしたものだったりとか、トイレットペーパーは昨年の紙コップをリサイクルしたものだったり、そういう形でイベント内の資源の循環をテーマに活動しています。

また、会場内にアヴァロン・フィールドとかフィールド・オブ・ヘヴンとかいくつかのエリアがあるんですが、そこのエリアでは廃天ぷら油、使用済みの天ぷら油をリサイクルした燃料である、バイオディーゼル燃料を使って会場内のエネルギーの一部を発電しています。

これまでも、環境についての取り組みを行って来たフジロック・フェスティバル。今回スタートしたのが「フジロックの森」というプロジェクトです。

もともとはフジロックでも、フューチャー・フォレストいう団体と提携してスコットランドで植林、というのをやってきたんですね。

海外からたくさんアーティストが飛行機でやってくるので、イベントで出るCO2を植林でオフセットしようということをやってきたんですね。ただ、お客さんにとっても私たちスタッフにとっても、スコットランドで植えてる、海外で植えてるということで、もちろん大切なことではあるんですが、なかなかリアリティがわかないと。もっと自分たちのリアリティがある形でのオフセットの活動、植林の活動をやっていければいいなというのをずっと考えていたんですね。

会場を見渡せば、周囲は森。
答えは、ひとつでした。

新潟県であったりとか、湯沢町の方から「一緒に森作りをやっていこう」というお声がけをいただきまして、今回、1年がかりで準備しまして、着手しました。

「フジロックの森」、それはどんな活動なのか?

主に2つの柱を設けていて、ひとつめは、フジロックは森作りという観点で活動をしてきて、そのひとつが「ボードウォーク」なんですね。

フジロックは今までも、お客さんとともに作り盛り上げて行くということを重視していまして、フジロックの会場内でボードウォークというバリアフリーで歩ける木道がありまして、お客さんにとってもフジロックの楽しみになっていると思うんですけど、このボードウォークもお客さんと事前にキャンプをしてこのボードウォークを作ってきたりしているんですね。かれこれこのボードウォークの歴史も長くなってきているんですが、冬の時期は苗場は雪が降るので、せっかく作っても雪の重みで壊れたりするんですよね。かつ、老朽化した部分などもあるのでそういうところをみんなでキャンプをしながら修復工事をやっておりまして、ボードウォークを中心とした森作りをやっていこうというのがひとつの柱です。

苗場スキー場のふもとから森を抜け、山をのぼり ステージが点在するフジロック・フェスティバル。
一部のステージとステージは木で作った道「ボードウォーク」で結ばれています。
観客は、森のなか、手作りの感触が残るこのボードウォークを歩きます。
そして、木々の向こうから音楽が聞こえてくるのです。

「フジロックの森」、もうひとつの柱とは?

みなさんご存じの方もいらっしゃると思うんですけど、日本の国土の7割は森林なんですけど、そのうち人工林が多いんですね。まだまだ手入れができていない人工林がたくさんあって、例えば、間伐はしてあるけれど、間伐した木が搬出されていないとか、そういうところがけっこうあるんです。そういった場所に着目して、そういう間伐されたけど搬出されていない材をみなさんの力を借りて搬出して、チップ、間伐材をチップにして紙を作ろうということをやっています。湯沢町の周辺の森から出て来た間伐材から紙を作るので、それをフジロック・ペーパーと呼んで、みなさんに使ってもらおうと思っています。

通常オフセットというと権利を買って相殺して終わりかと思うんですけど、これは新しいと思うんですが、権利を買うんではなくて川下の紙を買うことで、より循環を促進して行ける取り組みにしていけるといいかなと思っています。

地元の森を元気にする。
みんなで力をあわせて会場を作る。
そこには、こんな想いが込められています。

フジロックのいいところだと思うんですけど、主催者、アーティスト、お客さんとかいう分け方じゃなくて、本当にみんなでフェスティバルを作っていくと。自然のなかで作っていくフェスティバルなので誰かだけが頑張ってもだめなんですよね。困っている人がいたら声をかけたりとかしないとあの環境下だと大変じゃないですか。でもそれがひとつの気づきになったりとか、思い出になって、進んでいくと思うんで。

時には雨、時には強い日差し。
そして運がよければ、心地のいい 緑の風。
自然のなかで誰かが誰かの力となる。音楽が心を強くする。
フジロック・フェスティバル。苗場でさまざまな想いがつながる3日間です。

フジロック・フェスティバルが手がける環境プロジェクト「フジロックの森」のHidden Storyお届けしました。

苗場周辺の市と町からは、年間およそ2200トンの間伐材が出るそうなんです。
これが放置されたままになると、森が健全な状態でなくなる、ということで問題となっていました。
これを解決したい、ということで始まったのが「フジロックの森」。

すでに、間伐材から作られた紙「フジロック・ペーパー」ができていて、「フェスティバル・エコー」というフリーペーパーなどに活用されています。