イタリアのフィレンツェ郊外のキャンティ。
ぶどう畑の丘陵地帯を遠くに望んで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。取れたてのサラダにしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
「フンギ・ポルチーニ」。秋の食卓に欠かせないキノコです。日本ではヤマドリタケと呼ばれる種類ですが、それに似た種類もすべてを含めて「ポルチーニ」としてイタリアでは流通。色や形、そして大きさは微妙に異なります。
しかし一番の魅力はその香りで、得も言われぬものがあります。大きく切ってバターでソテーする、パン粉をつけてフライにする、炭焼きに、リゾットに、パスタなど、さまざまな調理法で食します。「ポルチーニ」づくしでディナー出すリストランテもあるのです。
丘陵地帯のトスカーナは、ポルチーニの産地としても有名です。土地勘のあるキノコ狩りの名人と共に早朝から林に入ると、あそこにもここにも、面白いようにポルチーニが見つかります。朝食は、コーヒーにパンだけ、という軽めの場合が多いイタリア。とはいえルッコラを敷きつめた上に、新鮮な生のポルチーニをスライスして並べ、パルミジャーノ・チーズとオリーブオイルをかけたシンプルなポルチーニのサラダは格別。採れたての秋の味覚をいただきましょう。
今月と来月はイタリア全土の市場にポルチーニが並び、産地では料理も振る舞われる「ポルチーニ祭り」が行われます。