今週は、Monkey Majik。
東日本大震災発生後、地元・仙台でボランティア活動を続けてきた彼ら。
胸に刻む想いとは? メンバーのメイナードさんとディックさんにお話を伺いました。
2011年3月11日。
そのとき、、Monkey Majikのメイナードさんは仙台にいました。
メイナード: 僕はちょうど東京から帰ってきたんですね、仙台に。
2時半くらいに仙台駅に着いてパーキングで車に乗ろうとした瞬間、揺れ始めたんですね。結局「1時間くらい経ったら、出ないとダメ」と思って、ただし、1キロでも1時間くらいかかった。歩く方が早かったんですよね。もうすごい道路が混んでいて。で、そのタイミングで出て、弟のブレイズを探しに行って。
メイナードさんと弟のブレイズさんは、ブレイズさんが通っていたスポーツジムで再会。
メンバーのタックスさんとも会うことができました。
ディックさんとはTwitterを通して無事を確認し合いました。
しかし……
メイナード: 3日目くらいで「あ、これはしばらく戻れないんだろうな」と。
コミュニティセンターに何時間、並んでも食べ物もない。それが「明日来なくていいからね」って言われたり。明日はないから。
だから、よく、乗り越えたっていうか……
混乱を極めた震災直後、Monkey Majikのメンバーは、それぞれがボランティア活動を始めました。
メイナード: 4日目? 3日間はずっと家にいたんですけど、4日目からボランティアし始めて。
ボランティアセンターがオープンした日ですよね。新聞で見て、すぐ行きましたね。
もうニーズにあわせてやっていたので、本当に何でもやってましたね。基本は体を使ってやる仕事だったんですけど、ビルの解体とか、海の片付け、川の片付け。メインは、津波でやられたお家のなかに入って、全部外に出して、捨てるもの捨てて、泥だし。基本的に目標を持って、一日、ひとつかふたつの家を綺麗にするっていうチームでやっていて。
『木を植えた男』。
Monkey Majikが震災後、最初に世に出した作品です。
そもそもは、Frédéric Backさんの展覧会『木を植えた男』のテーマソングとして制作を依頼された楽曲でした。
ディック: 『木を植えた男』については、助けられたというか、Frédéric Backさんのアニメーションをモチーフにした曲なので、もちろん、震災とは切っても切り離せないというのはあるんですけど、もともとアニメーションの方がすでにそういう内容だったというか、木を植えていく男の物語と、津波を受けてからの人々がすごくかぶる部分があって。
メイナード: 約束だけだからじゃなく、このアニメーションがすごくインスピレーションをくれたというか、ひとりの男でも街を復活させられる、というか……
この曲がレコーディングされたのは、今年(2011年)6月。
「それまでは、音楽を作る気になれなかった」。
メイナードさんはそう語ります。
メイナード: 曲は、それどころじゃなかったんですよね。
曲作る……うん。なんて言うの、その存在。歌っていう存在もなかった。自分の歌だけじゃなくて他の歌も。
なんかこう、音楽には力があると思うけど、あの時期はなかった。もう、毎日がサバイバル。
「毎日がサバイバル」という生活のなか、4月。 Monkey Majikは『SEND愛』……「仙台」と「SEND愛。愛を贈る」という意味を重ねたプロジェクトをスタートしました。
最初に計画されたのは、大阪でのライブイベント。
メイナード: 普段だったら、早くても半年くらいかかるんですよね、ライブの準備は。
普通は1年前くらいから場所をおさえて、いろんな……そのとき4月の真ん中くらいだったから、7月には遅くてもやりたいという無理矢理なオーダーをして、なんとかミラクル的に場所をおさえて。
みんな無償でイベンターも場所も全部ボランティアのようにできて、チケットも一部じゃなくて全額、寄付できて、本当にいいスタートラインというか、その日から全然、音楽に対する気持ちが変わって。それまでネガティブな気持ちがあったとしたら、その日は全部変わったんですよね。それは僕らが何かをやったというわけではなくて、この日に集まったお客さん、スタッフ、アーティストのみなさん、本当にこう、ねえ、音楽を通して素晴らしいことができたのが、前向きになれて……それからノンストップだね。
あさって、(2011年10月)16日には、地元、仙台で、ライブイベント『SEND愛』を開催するMonkey Majik。
最後に仙台への想い、語っていただきました。
ディック: 地震当日から、自分の回りにいる人が、頑張っているというと言葉が軽いですが、そういうのを知ってるので、今回、震災の日から「すぐ近くの友達を助ける」ところから始まって、少し余裕がでてきたら「少し遠くの、社会的にも遠くの被災者」を助けに動いている人が本当にたくさんいるんですよ。本当に素晴らしい土地だなというのを実感していますね。
メイナード: 僕は東北に来て14年目なんですけど、よりHomeであると感じたというか、もともとずっとHomeだとは思っていましたが、だからではないんですが、みんなで一緒にその場所で感じたことで自分も、すごく、より好きな場所になったし、復興に向けて「もっとすごい東北に戻したい」という気持ちが前より全然強くて。
愛するホームタウン仙台から、東北から、強い歌を。
そして、あたたかな音楽を。
Monkey Majikの活動は続きます。