中国、山東省の青島。海岸を散歩しながら間近に見える山々をながめて、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。すぐ食べられる朝ごはんにしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
中国の東部、山に囲まれ、黄海に面した港湾都市で、北京へも上海へもだいたい同じくらいの距離です。およそ6,000年前から人が住んでいたといわれ、中国を統一した秦の始皇帝も訪れたという歴史ある場所。
1898年にドイツが青島の一帯を統治した場所になっていたため、博物館はもちろん、鉄道の駅、政府関係機関など、街のあちこちに当時の石造りによる重厚なドイツ式の建物が残っています。
この街にドイツの技術によるビール工場ができたのは1903年。
青島ビールは中国で最も古く、最も有名なブランドといえるでしょう。
そしてこの街ではビール樽から直接量り売りをする光景を目にすることが出来ます。使うのはなんと専用のビニール袋。青島ビールと名前が入った、ショッピング用のビニール袋に、必要なだけ注いで、はかりで重さを測っておしまい。あとは家までビールを提げて帰ります。
味が濃く、油をたっぷり使う料理が多い青島。
必然的に朝は軽めの食べ物が好まれます。
その典型的なものが「豆腐脳」と書いて「どうふなお」という豆腐料理。豆乳を煮立てて、ふわふわのやわらかさに仕上げ、片栗粉などで少しとろみをつけたタレとともに食します。トウガラシが入った辛めの屋台や、ニンニクが効いた屋台など、さまざまな味を競います。どこも大きな樽のような鍋にたくさん作ったものを、おたまですくって盛ってくれます。中国の他の都市と同様、出勤途中で軽く食べるのが一般的。あっさりとした朝食を、さっと召し上がれ。
一部の屋台ではテイクアウトもできるのですが、ビールと同様やっぱりビニール袋に入れてくれるようです。