2011/12/9 Save Our Culture

SOC(Save Our Culture)とは「東日本大震災で被災した地域社会の復興を、文化財保護活動を通じて行う」というもので、その特徴は国際協力を得ながら官民協働で、国や文化の枠を超えて個人、企業、財団当機関・団体の支援の輪を広げるというものです。

具体的には、被災した建造物や美術品、それに東北の虎舞、獅子舞いなどの無形伝統芸能で使われていた獅子頭、太鼓、笛、装束などの道具類の修理・復旧を支援するために助成金を世界中から集めています。
大きく3つあります。
まず、支援計画とチーム作りがあります。私が所属するWMF(World Monuments Fund)ですが、NYの本部、フランス、イギリス、スペイン支部を通じて過去45年間、国や文化の枠を超えて文化財保護活動をしています。いわばユネスコの民間版ですね。(2011年)3月末に文化庁と意見交換を始め、東京藝術大学の協力を得て、資金管理など事務局となる日本側の財団などとの連携が始まっています。
二つめが情報収集です。助成金を集める上で文化財被災状況を把握することは必要なことですし文化庁、各都道府県教育委員会からの被災文化財聞き取り、それに被災地域(今のところ、宮城、岩手、千葉、茨木)にもなるべく足を運び、行政を含め地域の方々の意見の収集に努めました。ただ、集めた情報より、実際の被災地を目にし、地元の方の生の声を聞いたことのほうがずっと役に他っています。
三つ目が、被災地域社会復興のために文化財支援の大切さ、必要性を広く呼び掛けることです。4月よりプロジェクトチームメンバーと個別に説明・支援要請をしたり、SOCに関する記者発表を10月5日にNYで、11月2日に日本の文化庁で行い報道機関の理解と協力も得ました。

WMFとしては、海外における助成金など支援を呼び掛ける活動を行ってきており、国内ではチームメンバーとともに企業への訪問・説明・支援要請などを行っています。 文化財と聞くと、まだ多くの方が、例えば国宝とか重要文化財といった、なにか特別のもとという風に受け止めると思います。でも、地域の文化財、または文化遺産って、もっと、とても身近なものだと思うんです。例えばお社とか、古くから地域に伝承されてきた神楽とか舞とか、お祭りなど、ほとんど誰でも、とても身近に、そして日々の暮らしに欠かせない大切なものがあるんですよね。そういった、其々の地域社会で人々の「心よ拠り所」となるもの、それらをプロジェクトとしては大切にして、修理・復旧の支援をしていきたく思っています。それらが復旧されれば、被災された方々が集える機会にもなりますし、地域復興に役立てるのではと考えております。

今回被災した文化財は国、県、市、町などの行政による指定文化財だけでも2,000件は越えると思いますし、これに未指定のものを加えるとかなりな数の文化財が支援を必要としています。また地域社会の復興インフラ整備もかなり時間がかかるように聞いております。つまり、時間的にはかなり長期的に腰を据えて取り組むプロジェクトになると思います。具体的には、個人・企業・団体など支援の輪を広げると同時に、助成金また、支援に関する様々な貴重な意見を反映し、被災地域より支援申請のあった文化財復旧に取り組んでいきます。

ぜひ、プロジェクトのウェブサイト。「Save Our Culture」または、「心を救う (文化を救う)」で検索すればすぐサイトに飛びますので、それを見ていただき、プロジェクトを理解していただき、支援パートナーに加わったり、または周りの人たちに支援の呼びかけをしていただけたらと思います。もし、ご質問なり説明が必要でしたら、私の連絡先も載ってますので、いつでもメールください。
プロジェクト目的の被災地域復興支援は、他の支援形態である、人道支援、音楽を通じて、スポーツを通じての様々な支援とも共通した目的です。様々な専門領域をもった人たちが様々なアプローチで支援活動をしていることは民間支援としてとてもいいことです。
「被災文化財を救い、地域社会復興を応援しましょう!」と呼び掛けていただければ幸いです。

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