香港のビクトリア・ハーバー。香港島から九龍に向かうスターフェリーの上で、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました、麺類の朝食にしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
旧正月の春節における三が日が終わったばかりの香港。新しい年を祝う街の中は、赤や金色の縁起の良い色で染まります。「恭喜發財」つまり、「お金が儲かりますように」という意味のお札が玄関に貼られ、お店や会社の入り口にはミカンの実をたくさんつけた鉢植えが置いてあります。ミカンは「お金」や「幸運」と同じ読み方の漢字表記なので、縁起がいいというのが理由です。
香港の人々がお正月に訪れる一番の人気スポットは、黄大仙廟というお寺。中国建築の真っ赤なお寺で、参道には線香やお供物を売る店が軒を連ね、お寺の中はもうもうと線香の煙がたちこめます。この寺を訪れるもうひとつのお目当ては、占いなのです。竹の筒に入った、数字が書かれた竹の棒を、線香に火を灯して祭壇にひざまずき、願い事をしながら、一本取りだします。同じ番号が書かれた紙切れと交換して、占い師のところに持っていき、その内容について説明してもらうというものなのです。日本のおみくじに似ていますが、講釈をうけるところが違います。
外食する人が多い香港ですから、朝早くから街角のお店は賑わっています。なかでも麺類とお粥を出す専門店は多く、さまざまなバリエーションで地元の人々の胃袋を満たします。日本のラーメン鉢よりは小ぶりの器で出てきますが、広東系のお店では、海老のワンタン麺が定番です。具はワンタンとネギのみとシンプルな構成ですが、卵が入った黄色い麺と、プリプリの海老のワンタンとの相性は絶妙です。ゆがいた青菜にあつい油をかけてオイスターソースをまぶしたサイドメニューとともに、さあどうぞ。
麺の種類も選べるのですが、日本のインスタントラーメンのちぢれた麺も人気で、袋から取りだして入れる店もあります。