西ヨーロッパの小さな国、リヒテンシュタイン公国。
山肌に建つお城を臨んで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました、パンの朝食にしよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
スイスとオーストリアの間にあって、小豆島と同じくらいの面積の国、リヒテンシュタイン。首都はファドゥーツです。この国の君主の一族であるリヒテンシュタイン家はその昔、ハプスブルク家に仕えて富みを蓄え、ヨーロッパ内での度重なる戦争にも時の君主が見事に対応。300年以上も変わらない、独立国のスタイルを守り続けています。経済面、軍事外交面などでスイスと深い関係にあります。リヒテンシュタイン家は、国外に莫大な土地や美術品などの資産を持っているため、国の会計に依存しておらず、資産運用のプロによる金融が主な産業といえるでしょう。
侯爵のコレクションが時々展示される国立美術館をはじめ、スキーとウインタースポーツの博物館や切手博物館があります。さまざまなデザインの美しい切手を発行する事で、世界的に有名なリヒテンシュタイン。こじんまりした首都ファドゥーツの郊外には、宮廷ワイナリーもあって、観光名所となっています。
パンにハムやソーセージとチーズをはさみ、レバーペーストやチョコペーストを塗って食べるのがこの地の定番の朝食。オーストリアと共通の食習慣かも知れません。パンの種類は、ハンバーガーのバンズのような、丸くて手のひらサイズのセンメル。外側の皮がこんがりと硬く焼け、中はもっちりとしているというのが特徴です。オーブンに入れる前、生地に卵の白身を塗り十分発酵させてから焼き上げるのがパリパリの皮の秘訣。あたたかいうちに、半熟卵と一緒に、さあどうぞ。
リヒテンシュタインの「センメル」。
ハプスブルク家の宮廷料理の歴史が今も残っているようです。