キーボードで文字を打つことが多くなり、手書きで字を書く機会がすっかり減ってしまいました。一方でペン習字、書道などの習い事はまだまだ健在で、美しい字がかける事に対する憧れは消えません。さて、世界のあの国での手書きの文字事情はどうなのでしょうか?
今日も2カ国をコネクト。
タイ、バンコク。山崎幸恵さん
「文字と人格は関係ありません」
タイの学校に「お習字」はありません。
新しく習った語彙を、鉛筆で丁寧に書く「かきかた」のような時間はありますが、お手本どおりに書くわけではありません。「字が汚いから心が乱れてる」というような考えもありません。
女子学生が書くお手紙などでは、丁寧に書いた、丸っこい、かわいい文字も見かけますが、最近はメールやSNSを利用することが多いので、「手で文字を書く機会が少なくなって、つづり間違いが多い」と大学の先生をしている知人が言っていました。
美大や美術専門学校では、タイ文字のレタリングを教えているそうです。
お店の看板や、お寺のイベント告知など、手書きの文字にはけっこうニーズがあるようなので、レタリングができる人には副業の機会もあります。
中国、成都。水谷 健さん
「字が上手い人はやはり尊敬されます」
中国は水墨文化発祥の国だけに、字への思い入れは強く、ホテルやレストランには必ずと言っていいほど詩や熟語の掛け軸があり、当然のことながら日本よりも水墨書をあちこちで見かけます。日本でも見かけない書道用品の市場なども有り、高級硯や筆なども多く扱っていて、店に入るとそこの店長が一心不乱に字を書いていたりして、書道人口の多さを感じます。
コンピューターの普及で履歴書なども手書きでは無くなりましたが、我々の会社でも採用面接の際、簡単な論文を含め、手書きで字を書いてもらいます。やはり真面目な人はきっちり字を書きますし、ある程度字を見て診断できる人間が会社の中にもいて、我々日本人と同根の文化を感じます。
我々の年代(40代)くらいの人達は小学校の時に週2回ほど書道(中国では書法)の時間があったそうですが、今は学力を上げることが中心になってしまっているようで、日本と同じく若い世代はあまり書道などに興味がないようで、それを嘆いている方も少なくありません。