2012/4/20 渋谷ヒカリエのHidden Story

今週は、2012年4月26日(木)にオープンする、『渋谷ヒカリエ』のHidden Story。

地下4階、地上34階。渋谷駅の東側に巨大なビルが完成。
来週、いよいよ、そのベールを脱ぐことになります。『渋谷ヒカリエ』。
プロジェクトの始まりを、東京急行電鉄 株式会社の矢澤史郎さんに伺いました。

今、ヒカリエが建築されている土地、そこにですね、もともと東急文化会館、これは1956年にできた建物でして、みなさん印象的なものとしては五島プラネタリウムですとか、パンテオンという映画館がありましたが、その建物を閉館しまして、一度、東京メトロ副都心線の渋谷駅を作るための工事ヤードとして取り壊しまして、そこを使って、そのあとヒカリエの工事に入っていったということですので、東急文化会館の閉館から数えますと、足掛け10年あまりかかってのプロジェクトということになりますね。

渋谷ヒカリエのDNA。
それを知るには、歴史を50年以上さかのぼる必要があります。
1956年、今のヒカリエの場所に登場したのが、東急文化会館でした。

当時の私どもの会長、社長、五島慶太、創業家と言われていますが、当時、渋谷の1950年当時の滞留時間が5分だと言われていたんですね。銀座は45分。

これ何を意味するかというと、銀座には人が遊びに行って滞在している時間が45分あったんですが、渋谷は5分ということは、乗換駅でしかなかったんです。
そこで、「渋谷の街に新たな拠点を作って渋谷に滞在していただこう」「渋谷の街の魅力を工場させなければならない」。 それで作ったのが東急文化会館だったんです。

映画館、今で言うシネコンですね、4スクリーンあって、ゴールデンホールという結婚式場があって、プラネタリウムがあって、資生堂さんが出している大きな化粧品売り場があって、文化理容院という床屋さんもあって複合商業施設だったわけですよ。で、実際、渋谷の滞留時間が増えていったんです。
みなさん渋谷に遊びに来てくれるようになった。

それからおよそ半世紀。
文化を発信する、という遺伝子は、ヒカリエにしっかりと引き継がれました。

中核施設になる、東急シアター・オーブ。これはミュージカル専門の劇場。
2,000席規模の劇場で日本でも最大規模の劇場ができますが、端的に言えば、これ11階から16階までを使っているわけですが、2,000平米のオフィスフロアにして貸したほうが儲かるわけですよ。ところが、そこにあえて劇場を持って来たという意図。これはやはり、芸術文化をこの渋谷の地から発信していこうという想いですね。
それが「建物の中に劇場を作った」という形に表れているわけです。

単なるビルを造ればいいのか?いやそうではない、というところに東急の想いが込められているんです。

そして、渋谷ヒカリエが渋谷にもたらす大きな変化があります。
実は、『渋谷ヒカリエ』開業が渋谷にもたらす大きな変化があります。それは……

渋谷っていうのは、読んで字のごとくなんですけど、谷の地形なんですね。渋谷の駅というのは、谷底になっているんです。

東側の宮益坂方面は、ヒカリエでいうと4階なんです。西側の道玄坂はヒカリエのグランドレベルにあわせると2階。1階は明治通りなんですね。
で、今度新しくできる東横線、相互直通運転をする副都心線の渋谷駅。これは地下4階、改札が地下3階なんです。
そうすると、地上4階から地下3階まで、今で言うと、渋谷駅で待ち合わせするとなると、「階段を降りて、また上って、また下って……」という動線の複雑さがあると思うんですけど、ヒカリエにはアーバンコアというゾーンがありまして、地上4階から地下3階まで吹き抜けのスペースを設けています。それをエスカレーターで上下できる。縦の移動を容易にすることができる。 渋谷の西側と東側、ややもすると分断されていたエリアをつなげていく。

結局、「マークシティをずっと歩いて来て、一度マークシティを降りて、東横線をくぐって、また宮益坂を上がって行く」というそういう移動のストレスがあるんですけど、ヒカリエから東横線の渋谷駅に向かって歩道橋というか跨道橋をつなげていまして、その橋がつながると、駅ビルを歩いて行くと、ヒカリエからマークシティまで、宮益坂から道玄坂まで。 一気につながっていくわけですね。

さらに、ヒカリエの『ShinQs』と呼ばれるショッピングゾーンには、もうひとつ、自慢のスペースがあります。

スイッチルームと言いまして、これは東急百貨店の女性社員が渋谷じゅう、都内じゅうのトイレを見て歩いて、一番きれいなトイレを作ろうと。

これはすごいです。単なるトイレではないです。
オンからオフへ、オフからオンへとスイッチするための部屋で、アロマの香りがする、エアシャワーで消臭。 「仕事帰りでデートに行く」というときに、街の喧噪の匂いを落として、お化粧をして、おめかしして出かける。
そういうスイッチをする空間が広くとられているんですね。

取材に答えていただいた、東急電鉄の矢澤史郎さん。
晴れやかな表情で、未来の渋谷について語ってくれました。

『渋谷ヒカリエ』が渋谷の再開発のリーディングプロジェクトになっているわけですけど、現在の東横線が地下にもぐりますと、駅のスペースがあきます。渋谷と代官山の間が地下にもぐりますので、その線路の場所もあきます。そうしますと駅を含めた一体の開発ができるわけですね。本当に50年100年に一度の大開発なんですけれども……

副都心線、これは東急東横線と相互直通運転が始まりますけど、横浜、渋谷、副都心線の新宿三丁目、池袋を通じて、埼玉方面と一本でつながる首都圏の大動脈ができる、それがまさに渋谷ヒカリエの真下に、その渋谷駅ができると。
もう今、トンネル直前まで来てます。壁壊せばつながるくらい。

新しいビルを作ることは、新しい街を創ること。
渋谷が大きく変わる最初の一歩、渋谷ヒカリエは、来週木曜日にオープンします。