奈良県の奈良市。世界遺産にも指定された東大寺。
そびえ立つ大仏殿を臨んで、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。あっさりした朝ごはんを食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
今朝は奈良県、奈良市です
華厳宗大本山の東大寺。奈良時代に聖武天皇が「生きとし生けるものが共に栄えること」という願いを込め、国をあげて建立しました。当初は広大な土地に、中心となる壮大な大仏殿のほか、推定高さ70メートル以上の七重塔が東西2つに建つなどまさに都の中心の「東側にある大きな寺」でした。恐らくその時代の世界最大の木造建築だったでしょう。しかし中世以降、2度にわたる戦乱で多くの建物を焼失。現存する大仏は、台座などの一部が残っているだけ。18世紀初頭の元禄時代に再建された大仏殿も、当初に比べ、間口が3分の2に縮小されています。巨木が必要とされる奈良時代の大規模な建築方は、材料の調達、沢山の人手など、近代では困難なものでした。
お寺での朝食は「お茶で炊いたお粥」
その昔から東大寺で朝のお勤めが終わったあと、修業中のお坊さんに出されていたのが「おかゆ」。しかもお茶で炊いたものが奈良の「茶粥」のルーツともいわれています。もともとお茶は、中国から日本に伝わり、江戸時代は、奈良県がお茶の産地で身近なものでした。1643年に出版された『料理物語』という、いわゆるレシピ本にもこの「茶粥」は紹介されていて今でも奈良県の家庭や料理店では欠かせない主食。使うお茶は、煎茶ではなくほうじ茶の場合が一般的です。水を沸騰させ、パック入りのお茶を煮え立つお湯に入れ、色が十分出るまで煮出します。その後パックを取り出し、洗ってよく水をきったお米を、そのお茶に入れて炊込み、適度にお米が柔らかくなったら完成です。お茶を煮出すタイミングや、量、種類などにより甘みや渋みが変わるのが家庭の味。地元スーパーでは茶粥用のほうじ茶パックが売られています。家庭では梅干しやお漬物などと共に、さっといただきます。
奈良市内のホテルのレストランには「茶粥定食」朝食の看板メニューとして営業しているところも多く、何品もおかずがついた豪華な料理として人気です。