栃木県日光のほど近く。延々と続く杉並木の途中、うっそうと茂った樹を見あげて、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。身体にいい朝ごはんを食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
徳川家康をまつり、江戸時代にできた日光東照宮。その表玄関からの3つの街道の両側にスギが植えられています。江戸時代の初期に徳川家に仕えた松平正綱が、およそ20年をかけて植えたスギの木は、今もなお1万本以上残っていて、その総延長は37キロにもなります。それなので世界一長い杉並木としてギネスブックにも掲載。由緒ある名前がついて愛されている木々も存在します。
その並木道をすぎて街道の奥に進むと「日光を見ずして結構というな」ということわざで有名な、日光東照宮のきらびやかな極彩色の社殿にたどり着きます。山あいの地形を生かした境内には、ゆるやかな参道や階段で、「眠り猫」や「見ざる、言わざる、聞かざる」などなど数々の国宝や重要文化財に指定された建物や、装飾をめぐることができます。
大豆の加工食品のひとつの「ゆば」。豆乳を煮たときに、表面にできる薄い膜を引き上げたもので、もともとは中国から伝わりました。日本では主に京都で精進料理に使われていた「ゆば」が、ここ日光に多くの僧侶や修業を積む人々が集まるようになってこの地でも作られるようになりました。菜食を強いられる僧侶のたんぱく源として、また山にこもって厳しい修業をする場合には、保存食として軽くて栄養にすぐれた食品の「ゆば」を食べました。もともとはお寺だけの食べ物が、明治以降一般の参拝客などにも売り出されるようになったようです。煮立った豆乳の表面の膜を引き上げて、乾燥させずに作った生ゆばを、醤油をたらしておさしみで、また乾燥させた干しゆばをおみそ汁に入れていただきましょう。
日光東照宮は来週大きなお祭りの「例大祭」があり日本はもとより、世界中からの観光客で賑わいます。