2012/8/31 世界の食生活キャンペーン事情

今日8月31日は「831」の語呂合わせで「野菜の日」です。
身体の栄養バランスを整えるために欠かせない野菜ですが、世界のあの国では、野菜に対するキャンペーンなどはあるのでしょうか?
今日も2カ国をコネクト。

「野菜を食べましょう」というキャンペーンはありますか

アメリカ、ニューヨーク。中村英雄さん
「ありません」

全くないのでしょうか?

肉食主体で肥満と成人病が大きな問題となっているアメリカですが、実際に生活してみると、そうした積極的な働きかけはなく、街にはハンバーガー、フライドチキン、ピザといった高たんぱく、高脂質の食事が溢れかえり、野菜の社会的地位は低いように感じます。アメリカの食卓に出てくる野菜といえば、ポテト、レタス、トマト、コーン、オニオン、ニンジン、きゅうり、ブロッコリー、アボカド程度。なによりも品種改良と輸送技術の向上で年がら年中、季節の別なく同じ野菜が手に入る、つまり「旬」がないのが、この国の野菜感を多く決定付けていると思います。

それに加えて、缶詰や冷凍食品の影響もあり、野菜が「土と太陽と水から栄養分を摂取して成長する生き物ものである」という認識が非常に薄いと思います。野菜が加工食品化しているのです。ですからみなさん、野菜のおいしさや本来の味はすっかり忘れていると思います。

そうでない動きはありますか?

意識の高い人やお金のある人が多いニューヨークは別です。

おいしい野菜、安全な野菜を食べたいを合言葉に30年ほど前から始まった「ファーマーズ・マーケット」(近郊農家が産地直送の野菜を毎週マンハッタン各所で売る)は、すっかり定着しています。こちらは、ちゃんと「旬」があるので季節ごとに並ぶ野菜も変化します。

マンハッタンの高級レストランの多くは、ファーマーズ・マーケットで食材を調達しています。また、ある高級食材店の野菜コーナーでは、野菜の知識や料理法、はては「切り方」まで指南する「ベジタブル・ブッチャー」なる専門家がいます。まあ、みなさんスーパーのカット野菜に慣れきってますから、いかに新鮮な野菜を買っても「自分で切れない」!こんな悲しい状況がこういう職業を生んだのかもしれません。

(ただ、この食材店は、アメリカ人にとっては目新しいエスニック素材の野菜(セロリルーツとかシシトウとかアグリー・トマトなど)を積極的に入荷しているので、その説明のためにもブッチャーは役立っています。
それに、確かに切り方ひとつできゅうりもおいしくなります。

「野菜を食べましょう」というキャンペーンはありますか

インド、ムンバイ。ハリー・チェンさん
「ありません」

インドはベジタリアンが多いですよね?

「国民の70%強がベジタリアン」と言われているけれど、実は多くの肉と魚を食べる人もいます。
一言でベジタリアンと言っても実はいろんな人がいて、例えばジェィン教は土の下に生えるもの(ニンジン、タマネギなど)、ニンニクなどは食べません。

外国の料理はどうなのでしょうか?

日本の寿司は、野菜寿司が大流行! こちらで作るカリフォリア巻き、いなり寿司に刻み紅ショウガ、そしてアスパラ天ぷら寿司はかなりおいしい。
ホームパーティーでもベジタリアンのみの寿司がよく出るし、ムンバイ、デリーで寿司屋の売上の4割は野菜寿司。
だから、「野菜を食べましょう」!というキャンペーンなどありません。