今週は、アウトドアを愛する人のためのシェアハウス「TENTMENT」のHidden Story。
地下鉄の白金高輪駅から徒歩5分。都心の住宅街に、その建物はあります。
合計50室を備えるシェアハウス、「TENTMENT」。
入居しているのは、アウトドアを愛する人たちです。
このシェアハウス、どんなきっかけで生まれたのか?
安田不動産株式会社の笠井信行さんに伺いました。
会社のなかに新規事業のアイディアコンテストがあるんですね。
一昨年あった、そのコンテストで、そのとき、シェアハウスというのは徐々に広まりつつあった感じで、そのシェアハウスに「何か付加価値をつけるのがいいんじゃないか」という段階で、そのときに「趣味」をテーマにしたシェアハウスがいいんじゃないかなと。ただ単純に見ず知らずの人が集まって暮らすのもいいんですが、そのなかにひとつくくりというか、共通の趣味で会話がはずむ、というようなシェアハウスがあれば、それは大きな付加価値になるんじゃないかなと思って。
実は、最初に構想したテーマは、アウトドアではありませんでした。
当初はアウトドアではなくて、タイガース・ファンのシェアハウスだったんです。
当初は、ちょっと受け狙いみたいなところもあって、タイガースファンのシェアハウスを作ったら絶対にウケる。話題にもなる、入居者も集まるだろうということで、企画はタイガースファンのためのシェアハウスを作りましょう、ということで応募したんですよね。
しかし、シェアハウスとしてリノベーションすることが決まったのは50室もある大きな物件。
大きく普遍的なテーマが求められました。
もともとは警備会社の寮だった建物をリノベーションしたシェアハウス。
そこには、どんなアイディアが盛り込まれたのでしょうか?
アウトドアのギアを整備する場所がほしいとか、テントを干すスペースがほしいとか、やっぱりマンション暮らしとかだとテントを干せないんですよね。
それをジャブジャブ洗って干せるスペースがあるといいねとか、収納はたくさん欲しいねとか、アウトドアのグッズって靴とか服にしても装備が違うじゃないですか。で、シェアならではの物品を自分ひとりが持つわけではなくて、シェアできるのが大きな魅力なので、いろんなバーベキュー道具とか、キャンプ道具とかはシェアハウスとして持って、みんなに貸し出す方法をとったらいいんじゃないかと考えたり、あとはボルダリングの壁を用意したりとか、屋上にウッドデッキを敷いてテントをはって泊まれるようにしたりとか、そういうことをしていますね。
共用部分のリビングルームには、大きな黒板があります。
取材チームが訪れた9月の初め、入居者からの さまざまな提案が書き込まれていました。
この黒板を使って、みんながいろんな企画を練ったり、イベントをやるんで参加者を募ったりいろいろやってますね。
D: あ、サンマ祭りかなこれ?
9時からサンマ祭りに行って、知り合いなんでしょうね、たまちゃんの講演会に行って、夜はベルギーのフェスに行くみたいな。ほんといろんな館のなかで部活が起こっていて朝ランニングをする朝ラン部とか、ボルダリング部とか、農園があるので野菜を作る野菜部とか、入居者の方たちで集まって、部活みたいなことをやってますね。
安田不動産株式会社の笠井信行さんに最後にこんな質問。
不動産のお仕事。以前と比べて変わりましたか?
以前はやっぱり、壊して作って、みたいなところはありましたけれど、やっぱり「いろんな付加価値を作っていかなきゃいけないよね」というところで、今、そういう方向に目が向けられている。
コミュニケーションであったり、街の活気であったりとか、街だけじゃないですね、物件自体のいろんな人たちが来て、使っていただくトコロまで考えて企画を組み立てるようになってますね。
「どうやったら人をワクワクさせられるかな?」というのを考えるので、楽しいですね。
そういう意味ではこのシェアハウスは上手くいっているかなと思いますね。
どんな人が集まって、どんな会話を交わし、どんなぬくもりを作っていくのか?
不動産ビジネスのプロが思い描いていたのは、人と人のつながりでした。