2012/10/12 『READYFOR?』のHidden Story

今週は、あるアイディアを実現したい人がそれに共感した人々から支援金を集める、クラウド・ファンディング。
日本で初めて、このシステムを導入したのは、20代前半の女性でした。そこに込められた想いに迫ります。
» READYFOR?

日本で最初に立ち上げられたクラウド・ファンディング、『READYFOR?』。
まずは、代表の米良はるかさんに、どんなサービスなのか、教えていただきました。

インターネット上で多くの人から小額を集めて、何かを夢を持った人たちの「夢」とか、ものを作りたい人の「ものづくり」だったりとか、そういう人の想いを叶えるというのがクラウド・ファンディングなんですけど、で、『READYFOR?』は、ソーシャルな社会貢献という言い方が正しいか分からないんですけど、社会性のある活動、例えば、伝統芸能をやっている方とか、日本のものづくりをやってる方とか、社会起業家の方とか、被災地の活動であるとか、自分がやっていることが、日本や世界の未来を変えていく。小さくてもそれがつながっているような、そんな活動をやっている方に、日本中からお金と応援の想いを集めて形にしていく、というのが、『READYFOR?』のサービスです。

米良さんは、『READYFOR?』の前に、大学在学中、「チアスパ」というサービスを展開していました。
これは伝統芸能のアーティストやスポーツ選手などへの寄付を集めるプロジェクトでした。
これが、『READYFOR?』の原点です。

もともと、なんでそういうサービスをやりたかったのかというときに、荒井秀樹監督というパラリンピックのスキー・チームの監督に出会うことがあったんですね。その方に会ったときに、パラリンピックのスキーチームは、何度も金メダルをとっているようなすごく強いチームだったんですけど、残念ながらパラリンピックに行くだけでも自己負担が大きい、費用の面でですね。そんな金メダルを何度も取るようなチームでもそんな状況。

おっきなお金を出すことは難しいかもしれないけれど、少しでも彼らの活動に役立てることができるんじゃないかな。インターネットだったら、ほんとにひとり100円出しても、1億2,000万人が出し合えば大きなお金になると。そういうことが実現出来るんじゃないかなと思ってました。

志はあるが、資本主義の大きな流れなかで 資金を調達できず、心が折れてしまう。
そんな志を支えることができないか?
模索するなか、米良さんは、アメリカで成長しつつあったクラウド・ファンディングに出会います。
そして、去年の3月29日、『READYFOR?』が誕生したのです。

『READYFOR?』って、お金を集める仕組みではあるんですが、もうひとつの大きな側面としては、アクションをする人をみんなで応援するというか、アクションをしている人が最も輝くような設計になっているんですね。

で、結局、いろんな人にいろいろ言われて、「ああ、やっぱりやめようかな」と思うことが結構多いと思うんですね、普通。
でも、『READYFOR?』は、何か右手を挙げて「これをやります」と言った人に対して応援がバーっと集まるんですね。メッセージが見れるようになってるんですけど、がんばってね〜とか、ずっと応援してるしとか。

で、こう、やってる側の人たちは、みんなそこがすごく励みになったと。自分がやってることをこんなにいろんな人が応援してくれていたのを再確認できるし、絶対前に進もうと思ったと言ってくださるんですね。それって新しい何か物事が生まれていくなかで重要なことで。

応援する側の人には、プロジェクトが実現した際に何らかのリターンがあります。

『READYFOR?』で一番お金が集まったプロジェクトで陸前高田の図書室を作るというプロジェクトがあったんですけど、最終的に830万円を860人の方から集めることに成功して、目標額200万だったんですけど、それも最初の3日間で集まったんですね。

たくさんの方に応援してただいて、で、リターンなんですけど、そのプロジェクトに1万円を出してくださった方に、1万円出してくださった方の一番好きな本を聞いて、その本にその方のお名前を入れて1冊ずつ図書室に献本するというシステムをとっていたんですね。

で、そこから面白かったのは、そのプロジェクトが終わったあとに、だいたい週に一度くらいは、そのプロジェクトを支援してくださった方がその図書室に遊びに来るらしいんですよ。自分の本を見に来るそうなんですね。そこに人と人、人とものの新しいつながりが生まれて、そこに人がたくさん集まってくると。

今までつながらなかった人と人がつながって、新しい仲間が生まれる。
さらに、『READYFOR?』は、こんなことを思い描きます。

『READYFOR?』の実行者を、私はいつもマラソンランナーに例えていて、マラソンランナーって走ってる最中に、走っている間にめっちゃ脇腹痛くなったりとか脚が痛くなったりとか、私は何度かマラソンをした経験でしか話してないですけど(笑)、ゴールに向かってすごくつらい道があると思うんですね。

でも、そのなかで前に進もうと思えるのは沿道の声援が大きいなと思って、これが私が考える『READYFOR?』の実行者と支援者の関係かなと思っていて……で、私のイメージのなかでは、支援者の、沿道からめっちゃ応援している人たちが、実行者のマラソンランナーが走ってるじゃないですか、夢中になって横で走り出すわけですよ。で、走ってて、「わあ、ゴールした」と喜んでると、あれ?みたいな。自分も結構、走れたなと。
だったら今度は自分が大会に出てみよう。自分が今度は実行者になる、という回転を作りたいというのがすごくあって。

クラウド・ファンディングとは、単にお金の話ではない。
ポジティブな想いがもうひとつのポジティブな想いを生む。

24歳。米良はるかさんの瞳はまっすぐ前を見つめていました。

「いつまでに目標金額がいくらと決まっていて、期限までに金額が集まらないと不成立」
ということなんですが……

例えば、宮城県石巻市で、震災で遊び場を奪われた石巻の子どもたちに、安心で安全な遊び場「みんなの家」を提供するためのプロジェクトは、「目標金額が120万円。あと21日でこれまでに達成した金額は90万円」。
他にも、たくさんのプロジェクトが支援を募っています。

そして、よりよい社会のためにアクションを起こそうとしているあなた、『READYFOR?』では、プロジェクトの受け付けも随時行われています(2012年10月12日現在)。
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