2012/11/9 ZAMBIKESのHidden Story

今週は、アフリカ、ザンビアの竹を使った自転車、その名も『ZAMBIKES(ザンバイクス)』のHidden Story。
» ZAMBIKES

アフリカ南部の 内陸にある国、ザンビア。
この国で採れる竹をボディに使った自転車が、ZAMBIKES。
その始まりについて、ZAMBIKESを輸入、販売する、株式会社アライアンス・ファクトリーの山本徹也さんに教えていただきました。

ZAMBIKES自体は、2007年にザンビアの首都ルサカで設立された会社です。

もともとは、アメリカ人の若者が研修でザンビアに行って、現地の同じくらいの年の若者達と交流をしたんですけど、「君たちところで何やってるの?」と質問したところ、「いや、何もやってないんだよ。勉強もしてないし、仕事をしてるわけでもない」。「じゃあ、仕事がないのか?作れないのか?」というのが最初のきっかけとしてあってですね。

あとは、人間が移動する手段だったり、モノを運ぶ手段が不足している。
車も走っていますが、多くの人が手に入れられる値段ではない。

それであれば、仕事を作るということと、移動手段を提供するということ、「一度に両方に取り組む事業ができないか」ということで設立されたものなんですね。

当初、作られたのは、竹製ではなく、金属製の自転車でした。
その自転車は、ザンビアの人々の移動手段、炭などの運搬のため、妊婦さんや、急病人を運ぶために使われました。
その後……

輸出用の商品を作りたいと思ったときに、実はザンビアにも竹が生えているんですね。
ザンビアには、たまたま、肉厚な強い竹が2種類くらい自生しているものがあったんですね。

竹を使って自転車を作るということに関しては、もうちょっと前に、アメリカの自転車ビルダーで有名な方がいらっしゃって、その方が竹を使った自転車を作って発表していたんですね。

で、実際、その方をお呼びして、ZAMBIKESで実際に働いている人に技術指導していただいて、最初にそれを作り始めたのが2009年から2010年くらいだったんですね。

竹で作った自転車。その強度については……

日本で一般的に見られる竹との違いとして、肉厚さが全然違うんですね。本当に、ある方が「チクワブのような」とおっしゃっていましたけれども、本当にチクワみたいにですね、空洞の部分が肉より小さいというか、そのくらいになっているので、強度が保てると。

竹自身が「これちょっと折れないよね」という肉厚さを持っているので、これが強度の秘密ですね。

株式会社アライアンス・ファクトリーの山本徹也さんは、ZAMBIKESを知ると、品質を確かめるため、まずは1台を輸入しました。

私自身も竹の自転車に乗ったことがなかったので、試しに1台入れて、組んで乗ってみると「思った以上に素晴らしいな」と思って。

1番最初に組んだのは、以前から親しくしていた鎌倉の方の自転車屋さんに組んでもらったんですが、納車の日に、東京の自宅まで80キロくらい、いきなり走ったんですね。そしたら、意外にも疲れないんですよね。
最初から、それまで乗っていたアルミのロードバイクとは違う、長く乗れば乗るほど、やさしいというか具体的に言うと、振動の吸収率が高いとか、そういうことがあると思うんですけど、すごく面白くて、ロードバイクだったりスポーツ自転車として十分だというだけじゃなくて、乗り味が面白いなと。
しかも、これが自然のもので出来ていて究極のエコプロダクツだと。
しかも、日本ではほとんど世に出てないと。

また、山本さんがZAMBIKESの輸入、販売を手がけることを決めたのにはこんな理由もありました。

もともと『アヴィチ』というイタリアの自転車の代理店をやってまして、あらためて自転車を売るという仕事を始めてみると、「日本の自転車を囲む環境が、とても残念だ」というところがありまして、特に、自転車が使い捨てと言いますか、粗末に扱われてしまって、壊れても路上に放置されてしまったりとか、そういう位置づけがすごく残念で、ヨーロッパでの自転車の扱い方というのは、もうすこし大事にされて1台を長く乗る方も多いですし、ある意味、ひとつの文化になっています。

なかなか日本では、なかなかそこまでいけてなくて、数はあるんですけど、自転車が大切にされてないので、「自転車を愛着を持ってもらう、大切なものとして提案していく」ということをやってきたんですけど、もっと、それをドラスティックに提案できるというか、自転車が命にかかわるような大切なものとして扱われている、というか、生きるために欲せられている状況をザンビア、アフリカのなかでの自転車の重要性を私自身も最初ニュースで見て、すごく感銘を受けて、自転車に関わる仕事をしている以上、自転車を使って人の命に関わる部分に深く貢献していく、というか、そういうことに、すごくやりがいを感じて、「そこに自分自身でも関われないか」と思ったことがきっかけで。

もっと自転車に愛着を持ってほしい。
しかも、その自転車に乗ることで、ザンビアの人々の雇用が生まれる。
さらに、ザンビアで 命をつなぐ移動手段でもある 自転車の事業を応援することになる。

自転車を愛する想いが、アフリカと日本をつないでいます。