いよいよ、今年も残すところ11日となりました。
年末ということで、街頭募金なども見かけるようになりますが、あの国での街頭募金事情というのは、どうでしょうか?
今日も2カ国をコネクト。
NY。中村英雄さん
「ほとんどありません」
クルマ社会だからでしょうか、街頭での募金というのは殆どありません。
年末というと、毎日のように病院や慈善団体から手紙やメールが届き、様々なチャリティ活動が行われているニューヨークですが、日本のような路上にての歳末助け合い運動はどうかというと、さほど盛んではないように思われます。
唯一目を引くのが救世軍の「社会鍋」くらいです。
これはキリスト教徒が軍帽、軍服のような姿で地下鉄の駅の出口などに立ち、ときにはトランペットで決して上手とはいえない聖歌の演奏がついています。日本とほぼ同じ形でしょう。
それ以外は、路上でよく知らない団体に小銭であろうと、献金する習慣はまずありません。寄付や社会貢献したい人はネットや小切手郵送などを使って素性の明らかなしかるべき団体に対し行うのが通例のようです。子供の学校などでは、サイレントオークションで寄付金を集めるのが盛んです。中には一夜にして100万円単位のお金が集まるものもあるそうです。
寄付金は、税金の申告の際に控除対象になるため、みなさん寄付時には必ず領収書を貰い受けるようにしています。
温情よりも実質の寄付効果や会計の明朗さを重視するのが、アメリカ、ニューヨークの流儀です。
トルコ、イスタンブール。加瀬由美子さん
「街頭募金、戸別訪問募金などが法的に禁じられています」
チャリティ自体というわけではなく、街頭募金のないトルコでの募金を呼び掛けは、日本の赤十字と同じ機能を持つ「クズライ(赤新月社)」という公社があり、貧しい人々や、自然災害の被災者達、近隣諸国の戦争や内戦から逃れてきた難民達のキャンプ運営など、多方面にわたる救済事業を展開しています。
クズライは募金の必要な災害や事件が起きた時、新しい銀行口座を開き、テレビ・ラジオ・新聞等でその口座への振り込みを呼びかけます。
全国ネットの大手テレビ各局とクズライが協力、有名歌手、人気俳優、スポーツ選手、といった人々を動員、巨大な公開スタジオの舞台に設置されたデスクの前でそれぞれに電話を受け持ち、一般視聴者、企業、工場などからの寄付の申し出を受け付けるのです。
視聴率もダントツに上がります。この番組のスポンサー企業や、その他の大企業の寄付もたくさんあり、一晩で何十億リラ、という金額が集まります。
街頭募金の許されないトルコにおいてただ一度、超法規的な措置として、昨年の東日本大震災の時、イスタンブール在住の日本人留学生達が中心となって、日本総領事館を通じクズライの許可を得て、タキシム広場という市内の中心地でクズライの名前入りの募金箱やテントを借りて1日限りの募金運動をしました。
1日だけで予想以上のお金が集まり、この義援金はクズライを通じて日本の被災地に送られました。
もちろん、トルコは120年来の友好国日本のために、これとは別に大きな募金を集め、日本に送ってくれています。
同じ昨年の10月23日には、トルコ東部のワン県で巨大地震が発生。イスタンブール在住の日本人会や有志の皆さんが大量にカレーライスを作り「ワンへ義援金を。カレーを食べる会」という催しを旧日本総領事館の建物で催し、カレーを食べたら寄付をする、という形で募金を集め、これもそっくりクズライを通じてワンの被災地に送られました。