青森県の津軽半島にある五所川原の駅。
吹雪いた外の景色を眺めて、彼女は大きく背伸び。
そして心に決めました。温まる汁物の朝ご飯を食べよう。
だって、何かいいことが起こりそうな、そんな気がするから。
津軽鉄道の五所川原駅。冬の風物詩ともいえる「ストーブ列車」の始発駅です。石炭を使って火をおこす旧式の「ダルマストーブ」が客車の真ん中にあって、乗客が暖を取るのです。風に雪が舞う真冬の景色とはうらはらの暖かい車内。ストーブに石炭をくべるのは車掌さんの仕事です。旧国鉄時代には通勤通学向けだった「ストーブ列車」は今では観光名物となって、団体客などで賑わいます。ストーブを使って“するめ”をあぶりながら、お酒とともに旅情にひたる観光客も多いようです。
「ストーブ列車」の終着駅からさらに北にいくと、十三湖という周囲30kmあまりの大きな湖があります。海の水と川の水が混じり合うこともあって、美味しい「しじみ」が生息する豊かな湖です。生産量や知名度では島根県の宍道湖にはおよばないものの、ツヤのある黒い貝に、おおぶりの身が特徴的で、うま味成分のアミノ酸が豊富に含まれているとか。
そして地元ならではの味噌汁「しじみ汁」がやはり朝の食卓には欠かせません。とはいえそのレシピは、出し汁と味噌で味を整える一般的なしじみの味噌汁の作り方とはちょっと異なります。昆布と塩水が中心で、お味噌はくさみを消す程度の隠し味として使うのが五所川原の「しじみ汁」。貝からしじみの身を取り出しながら、あっさりとしたおつゆと共にどうぞ。
十三湖が発祥となって、今では青森で人気となっているのが「しじみラーメン」。塩ベースのスープにあっさりとした味で朝からラーメンをすする地元の人々も多いようです。